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予想で楽しむノーベル賞、日本人受賞者を自分で考える3つのコツ
予想に役立つ指標2:2000年以降の受賞理由で傾向をつかむ
次に、2000年以降のノーベル賞受賞者と受賞理由の一覧を見て、傾向を考えてみましょう。
たとえば、生理学・医学賞は近年、「治療」や「創薬」につながる研究が受賞しやすくなっています。日本人受賞者でも、2015年の大村智氏は寄生虫感染の治療薬「イベルメクチン」、2018年の本庶佑氏は免疫阻害因子を用いたガン治療薬「ニボルマブ(商品名:オプジーボ)」の開発につながる研究で受賞しています。
とすると、ガンを狙って薬を届けるシステムの基礎を築いた前田浩氏と松村保広氏、HIV治療薬「AZT」を開発した満屋裕明氏、血中コレステロール値を低下させる「スタチン」を発見した遠藤章氏らへの注目も高いのではないかと予想できます。
物理学賞はこの10年間、宇宙・素粒子物理学と物性物理学が交互に受賞していましたが、2019年と2020年は宇宙物理学での受賞が続きました。なので、2014年の赤崎勇氏・天野浩氏・中村修二氏の「青色発光ダイオード」のように、物性物理学分野の日本人研究者への期待が高まります。
この分野では、「透明酸化物半導体」を発見して精密で消費電力の低いディスプレーを実現させた細野秀雄氏、「マルチフェロイック物質」の発見でコンピュータ・メモリの高速・大容量化に道を拓いた十倉好紀氏らが有力候補です。
また、本年9月9日に「科学界のアカデミー賞」と呼ばれる「ブレイク・スルー賞」を受賞した香取秀俊氏は、世界で最も正確な「光格子時計」を開発しました。現在、従来の「セシウム原子時計」は数千万年に1秒の誤差を生じましたが、光格子時計は300億年で1秒しかずれません。
化学賞は、生理学・医学賞や物理学賞ほどはわかりやすい法則はありません。
ただ、近年は2019年度の吉野彰氏らの「リチウムイオン二次電池」や2020年度の「ゲノム編集技術」のように、社会への影響や貢献も考慮されているようです。藤嶋昭氏の光で汚れをとる「光触媒技術」や、藤田誠氏の創薬にも応用できる「分子の自己組織化技術の開発」は、社会貢献という点でもアピール力が抜群です。
予想に役立つ指標3:ノーベル賞の登竜門とされる賞の受賞者を調べる
アメリカのアルバート・ラスカー基礎医学研究賞は、受賞者の約半数がノーベル生理学・医学賞を受賞しています。日本人では利根川進氏、山中伸弥氏がノーベル賞に先行して受賞しており、増井禎夫氏(真核生物の細胞分裂機構の解明)、森和俊氏(小胞体ストレス応答の解明)も受賞していることで、ノーベル賞受賞に期待がかかります。
イスラエルのウルフ賞の物理部門と化学部門は、しばしばノーベル賞に次ぐ権威があると言われます。物理部門では、南部陽一郎氏と小柴昌俊氏がノーベル物理学賞に先行して受賞しています。化学部門では、ノーベル化学賞受賞者の野依良治氏と前出の藤田誠氏が受賞しています。
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