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オーストラリアの診察室から

高尾康端|オーストラリア

オーストラリアのライドシェア

動画: shutterstock_1158247045

先日、岸田首相はライドシェアーを認めるかどうか検討すると表明しました。ライドシェアとは、元々は、ある目的地に向かう人が同じ目的地に向かう他の人を同乗させてあげることで移動費用を節約しようとするものです。しかし最近では、タクシー同様に職業として他人に移動手段を提供する人もいてライドシェアを主な収入源とする人が増えており、一つの職業としてとらえられています。近年ライドシェアの需要が高まり、多くの企業や団体がこの市場に参入しています。

ライドシェアの利用者数は年々増加しています。2012年にアメリカ発のUberがオーストラリアで初めてサービスを開始しました。コロナ禍でのロックダウンや留学生の減少に伴い利用者は一時的に減少したものの、観光客や留学生が戻ってくるにつれて需要が再び増加しています。オーストラリアのライドシェア市場では、米国発のUberが最大のシェアを持っていますが、国際的なプレーヤーであるOlaやDiDi、さらには地域的なプレーヤーであるShebahやGoCatchといった競合他社も存在しています。

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画像: shutterstock_743407210

ライドシェアの利点の一つは、基本的に料金が乗車前に分かることです。アプリを利用して予約するため、乗車前に料金を把握することが可能です。アプリを利用することで、ライドシェアとタクシーの料金を比較することもできます。一般的にタクシーよりも安価な料金設定となっていますが、時間帯等、場合によってはタクシーの方が有利な場合もあります。走行距離だけに応じて料金が決まっているわけではないので需要の多い時間帯には料金が上昇することもあります。利用者が多い場合、車を見つけるのに時間がかかることもあります。他にも、一度予約したにもかかわらずキャンセルされることも間々あります。

日本のように流しのタクシーが走っているわけではないため、タクシーでも通常は予約をする必要があります。しかし空港や週末の都心部ではタクシーの方が便利な場合があります。ライドシェアは基本的にアプリから呼ぶ必要があります。週末の都心部では、駐車禁止の場所が多く、ライドシェアの車を見つけるのが難しいこともあります。一方、タクシーはタクシースタンドがあるため、そこに行けばほぼ確実に乗車できるため便利です。

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画像:shutterstock_1921429181

ライドシェアの運転手になるために特別な免許は必要ありませんが、乗客を運ぶための業務用免許のために健康診断を受ける必要があります。オーストラリアでは子育てや他の仕事の合間にライドシェアの仕事をしている人が沢山います。また、週末だけタクシーを運転しているドライバーもいます。車社会のこの国では、多様な方法で運転を収入の一部としており、サービスの供給を増やしています。

日本でも副業が奨励され始めていますし、特に地方ではタクシー不足が深刻になっています。安全のためには規制が必要ですが、何かと規制の多い日本で今後ライドシェアがどのように発展していくかに注目しています。

 

Profile

著者プロフィール
高尾康端

日本、スイス、シンガポール、アメリカで育ち、2004年からオーストラリアに移住。シドニー大学医学部を卒業。現在は東ブリスベンエリアHawthorne Clinicにて家庭医 (GP)として勤務。家庭医の観点からみる病気についての情報、また母国である日本と移住地オーストラリアの医療システムの違いや、オーストラリアで病気になった時に役立つ情報を発信している。

Twitter:@dryasutakao
Facebook:Dr Yasu Takao
ブログ:https://www.dryasutakao.com.au/blog

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