スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~
インド・スタートアップ備忘録:ビジネス円滑化のための追加視点
あけましておめでとうございます、昨年も誠にありがとうございました。
今年も何卒宜しくお願い申し上げます。
新年初記事は以下に関連する形式で、新しいポイントをまとめてみました。
過去の記事においては、困難な事例とそれを防ぐために、ライトパーソンと会うためのTIPSを紹介してきました。
<過去の記事リスト>
<備忘録>インド滞在6年目を迎えて|スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~|World Voice|ニューズウィーク日本版 (newsweekjapan.jp)
インドで体験した大変(困難)だった経験事例|スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~|World Voice|ニューズウィーク日本版 (newsweekjapan.jp)
今回は追加の視点として、TakerにならないためのTIPS、今すぐ進出するかどうかの話、インドでの起業について、の3点を紹介していきます。
1.TakerにならないためのTIPS
ここでいうTakerの定義は、「情報クレクレしてくる割になにもお返しがない人」、「片務的に情報を搾取してくる人」のことを指します。
知人曰く、シリコンバレーや深圳、上海等でこれをやりすぎた人が嫌われたって話を聞きましたが、インドでも似たような話を聞く事が4-5年前に比べて増えてきました。
インドのVCやアクセラの友人にも「なんか話を聞くだけ聞いて何も音沙汰の無い日本人がいたけど、大丈夫か?」って話を聞きます。
そうなってしまうと、エコシステムへの入り込みも難しくなりますし、マイナスからのスタートになってしまうので、以下を気をつけるべきです。
(やや繰り返しになってしまいますが、再度の注意喚起ということでご容赦願います。)
NG動作一覧:情報交換、御挨拶アポ、アジェンダ無しMTG
2.インドに今すぐ進出するかどうかは会社の方針次第
よくある言説として、「中国の次はインドの時代がくる!今しかない!!!!!」が挙げられます。
しかし、「それって個社別の戦略によって違うので、何も今すぐインドへ進出する話とは別だぜ」ってことです。
例えば、他社が居ないってことはそれなりの理由があって進出していない理由があるので、進出タイミングが早すぎた・・・ってこともあり得ます。
加えて、市場として、成熟したところに、資本力を以てM&Aかけるのも手ですし、進出しないでも、LP投資や協業とかでオープンイノベーションもできるので、要は自社の方針に応じたインドと付き合う目的を明確にすればよい訳です。
投資、協業、人材登用、マーケット進出、研究開発によって組む相手、参照すべき事例、立てるべき戦略は全部異なります。
逆にこれらが不明瞭のまま、「インド14億人!」、「中国の次はインドだ!」といったフワフワした方針でインドに来ると地獄を見てしまうので、注意が必要です。
従って、目的と時間軸がはっきりとすれば、スタートアップやインド企業と話す際に、相手方との期待値調整が円滑になり、検討します一辺倒なコミュニケーションをしないで済みます。
3.<参考情報>起業の話:いきなりインド現地法人を本社として立ち上げることについて
たまに、「インドでの起業ってどうですかね?」と話をもらうことがあるのですが、リスクが大きいので、いきなり本社での現地法人登記は個人的にはおススメしていません。
先人の知見として、タイでご活躍されている越さん(越 陽二郎 (@yoyokossy) / Twitter)のNOTEがあるので、以下参照頂ければと。
話はシンガポールとASEANの話ではありますが、論点は同じです。
インドの法人税率もバカにできないですし、納税プロセスも電子化が進んだとはいえ、いきなり日本人が実務対応するのは難しい面もあります。
<参照リンク>
東南アジア起業、本社は日本?シンガポール?(前編)|越ノート|note
東南アジア起業、本社は日本?シンガポール?(後編)|越ノート|note
やや繰り返しの視点もありますが、上記の情報が、インド・スタートアップエコシステムとのお付き合いにおいてお役立ちできれば幸いです。
引き続き現場ベースで仕入れた知見や情報を発信していくことができればと思うので、本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。
著者プロフィール
- 永田賢
Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。
Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/