スタートアップ超大国 インド~ベンガルールからの現地ブログ~
<備忘録>インド滞在6年目を迎えて
お陰様で、インドに来てから5年を超えて、6年目を始めることができました、御礼申し上げます。
今回の寄稿では、5年間インドでスタートアップ関連のビジネスをしてみての所感や学びを備忘録のようにまとめてみます。
やや精神的な点になるでしょうか、自戒も込めて紹介していきます。
1.滞在年数だけでは、強い優位性にならない。
「インドビジネスは2桁年いないと物にならない、2桁年いないと全然わからない」、という言説をたまに聞くのと、年数を優位性として押し出してくるケースに遭遇することがあります。
年数も大事な要素と思いつつ、でも結局は「与えられたミッションをどれだけ達成しているか」、「成果をどれだけ出しているか」に尽きるのではないでしょうか。
実際、こちらでビジネスをローンチされて、数年で成功されている事例も複数あるので、滞在年数と成果に直接的な相関はあまり見いだせないのではないかと思案します。更に、業種やサービスの性質によって立ち上がりから黒字化までシナリオは異なると考えられるので、年数だけでは物差しにならないような気がします。
むしろ、密度でどれだけ成果を出したかを気にするほうが健全ではないか、と5年目が終わってみての感想を抱くようになりました。
生活情報や基本情報もインスタ、Twitter、Facebookで入手しやすくなっているので、キャッチアップのしやすさも、より容易になったと実感しています。
従って、私が「インド滞在6年なので、この知見をーーーー」とか言い出したら、焼きが回ってしまった証拠なので、ご指摘頂けるとありがたいです。笑
2.「インドは一言ではまとめきれない」、なら論点や視点設計をすべき
「インドは州によって違うし、一概に言えない」という話もありますが、ならば細かく論点や視点を設計して、分析しないといつまでたってもインドに対しての解像度は上がらないと感じています。
もちろん、州によって性格が違うし、宗教、文化、生活様式といろんな切り口があるのは事実です。
しかし、「ここはインドなので!」と現地に住んでいるのに、あたかも免罪符のように、このようなことを言い訳しだしたら、それこそ、「え、じゃあわざわざ滞在している意味って何があるのですか?」となりかねないので、注意しなければなりません。
従って、私のアウトプットも目立ったアップデートがなければ、「全然最新情報をブラッシュアップできてないじゃないか!」ということになってしまいます。笑
3.インドでしか通用しない要素なのかどうか?の見極め
こちらも、たまに、「インドにいると、交渉力がつく」といった言説を聞きますが、これも他国でのビジネスにおいて本当に通用するかどうか?、検証しなければいけないです。
例えば、インドでの交渉術がそのままケニアやタイで通用するとは限りませんし、コミュニケーション様式や考え方は国によって違うという研究がなされているので、この「交渉力」も慎重に考えないと「え、インドでしか通用しないのでは?」となりかねません。
という感じで、自戒も込めたテンションでまとめてみました。
なんだかんだでキャリアの中での海外在住年数が一番長くなってしまったので、上記のことに気をつけながら、新しい視点や知見の発信に努めていきます!
著者プロフィール
- 永田賢
Sagri Bengaluru Private Limited, Chief Strategy Officer。 大学卒業後、保険会社、人材系ベンチャー、実家の介護事業とキャリアを重ね、2017年7月に、海外でのタフなキャリアパスを求めてYusen Logistics India Pvt. Ltdのベンガルール支店に現地採用社員として着任。 現地での日系企業営業の傍ら、ベンガルールを中心としたスタートアップに魅せられ独自にネットワークを構築。2019年4月から日系アグリテックのSAgri株式会社インド法人立ち上げに参画、2度目のベンガルール赴任中。
Linkedin: https://www.linkedin.com/in/satoshi-nagata-42177948/