中国航海士・笈川幸司
第10回 中国最大のSNS微博(ウェイボー)
中国在住のわたしは、10年くらい前から中国最大のSNSウェイボー(微博)をやっている。もうすぐフォロワー数が10万人を突破するだろう。しかし、自慢がしたくてこの話題を取り上げたわけではなく、わたし自身、微博のフォロワー数に疑問を抱いているのだ。
ここ最近、毎日200名ずつ増えている。そして、わたしの投稿の良し悪しに関係なく、ここ三ヶ月くらいほとんど同じペースで増えている。しかし、「いいね」を押す人は毎回5人から10人くらいで、多い時でも30人くらいだから、フォロワー数のわりに、投稿を見てくれている人は少ないのだろう。あるいは、フォロワーの実数が少ないのだろう。
微博のフォロワー数を万単位で買うこともできる。自分をよく見せる必要のある人が買うのだろうが、「いいね」の数が少ない場合、「ああ、これは買っているな」とすぐバレてしまうだろう。そして、わたしを客観的に見ると、わたしも「買っている」と思われているかもしれない。
一応、ここからのお話は、中国人の友人(かなりの数です)の話を聞いて分析したことだ。その中に、わたしの推測も含まれている。だから、「絶対!」とは言えないが、当たらずとも遠からずだろうという気楽な気持ちで聞いていただきたい。
微博の投稿内容をAIが見ているという話がある。
そうかもしれない。わたしは偉人の名言を紹介することがあるが、ある日、キーワードがネガティブだったからか、その後、フォロワー数が激減した。そして、その投稿を削除すると、フォロワー数の減少が止まり、その後、徐々に増えていった。しかも、信じられないことに同じペースで増えて行くのだ。
それをきっかけに、微博での発言はポジティブなものに変え、使う言葉に気をつけるようになった。
半年前、偉人の名言を読むと励まされるという意見が多かったため、そうしてみた。そして、毎日10作品ほど紹介したが、かなり不評だった。理由は多すぎて、全部見切れないというものだった。
そこで、毎日1回、作ったばかりの教材をJPGになおし、投稿することにした。すると、簡単で初歩的な教材はある程度受けが良いようだったが、中級レベルの内容になると、急に受けが悪くなるのを感じた。
10年もウェイボーをやっていて、今だにやり方がわからない。
投稿を見てくれているフォロワーの本当のニーズがわからない。「ニーズがわからないなら聞いてみろ」という意見があるかもしれないが、意見を募ってその通りにやってもうまくいかないのだから、もしかしたら、正解はないのかもしれない。
これが、フォロワー数10万人の実態だ。
著者プロフィール
- 笈川幸司
1970年埼玉県所沢市生まれ。中国滞在20年目。北京大学・清華大学両校で10年間教鞭をとった後、中国110都市396校で「日本語学習方法」をテーマに講演会を行う(日本語講演マラソン)。現在は浙江省杭州に住み、日本で就職を希望する世界中の大学生や日本語スキル向上を目指す日本語教師向けにオンライン授業を行っている。目指すは「桃李満天下」。