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中国航海士・笈川幸司

笈川幸司|中国

第7回 杭州日本人学校の学習発表会!!

前回も触れましたが、息子がこの学校に通っています。小中一貫校ですが、9学年で、多い時でも60名前後。現在はその半数が通っています。

コロナの影響で、9月にいらっしゃる予定だった先生方がしばらく日本で待機されていました。10月の国慶節休みを境に国境をまたぎ、二週間の隔離期間を終え、先生方が無事着任されました。学生と保護者の皆さんも徐々に戻ってこられたので、かなり賑やかになりました。

さて、一年で最大のお祭りとも言える学習発表会についてお話いたします。演劇あり、歌あり、太鼓あり。一人一人、やるべきことが多く、演劇のセリフも全員が主役級の多さでした。

前回も記しましたが、1クラスの学生数が少なく、9月までは、3、4年生が同じ教室で授業を行っていましたが、10月からは別々となり、3年生の場合、1クラス5名の少人数制授業を展開しています。

わたしは2001年〜2011年まで、中国の大学で10年半お世話になり、清華大学と北京大学で少人数制授業をする機会に恵まれましたが、それでも1クラス15名前後でした。通常、中国の大学の日本語学科の場合、1クラス20名〜30名だそうです。小学校から高校までは、80人1教室という場合もあるそうですが、さすがに語学授業で80名1教室にはできないという理由で、私立大学でも最大で1クラス40名前後だそうです。

途中まで、わたしは1クラス15名前後の授業が自分には一番合っているように思いました。ところが、北京の他の大学の学生たちがわたしの元に集まるようになると、放課後、1クラス6名前後の授業をやってみることにしました。そうなると、同じ90分授業でも、一人一人の発言回数と発表時間に差がつくことがわかりました。

杭州日本人学校では、息子が小学2年生の時からプレゼンテーションの機会が多く、週1回は教壇に立ち、与えられたテーマで発表していたそうです。授業中、ぼんやりする暇もなく、先生に指名される回数も多いと聞いています。

昔、参観日には、両親のどちらかが教室に来てくれましたが、その時、確かに、教室の後ろに、クラスメイトの絵や習字がずらりと貼られてありました。ここ杭州日本人学校にもありました。生徒数が少ないので、もし、賑やかにしたいなら、一人一人の作品を増やす必要があるので大変です。それにもかかわらず、わたしが昔通っていた40人クラスと比べても、作品数も見劣りしません。少人数制授業なら痒いところに手が届くのでしょうか。一人一人、どれも味のある作品ばかりでした。

さて、話を学習発表会に戻します。

以前、わたしは自分が受け持った授業全てをスピーチコンテストにしていました。毎回コンテストなら、二ヶ月を過ぎた時点で、緊張のせいで手が震える学生がいなくなり、半数くらいの学生が冗談を言えるような心持ちに変わります。それが理由か、わたしの授業を見学にいらした他校の先生方が、「状況の違いに戸惑います」「驚きました」などと口々におっしゃいました。もちろん、このような授業をしている先生は、比較的に少ないとしても、世界各地を回ったら、結構いるとは思います。そして、杭州日本人学校では、見学にいらした方に同じような印象を与えているのではないでしょうか。なぜなら、どの出し物にもヒーロー、ヒロイン役がいるはずですが、実際、誰が主役かわからないほど一人一人の出番が多いからです。それに、ドラマ『半沢直樹』の脇役の俳優さんのように、主役じゃないからと言って遠慮するような生徒もいないため、客席から、主役がだれかを言い当てるのもひと苦労となります。

人によって価値観は違いますし、自分の価値観を他人に押し付けることはできませんが、少なくとも、一人一人が活躍できる場という点に関しては、自分自身、それを目指して汗を流した経験があり、理想でもあります。節目節目のイベントを見ただけで、全てを見て判断したわけではないのですが、学習発表会という「出来上がり」を見て、先生方一人一人が、本当に素晴らしい授業、そして、指導をされているのだと想像できます。

ネットを見ても、杭州日本人学校について書かれてある記事、ブログはほとんど見つかりませんし、情報も少ないと思うのですが、個人的には、本当に素晴らしい学校で、オススメしたい学校です。

 

Profile

著者プロフィール
笈川幸司

1970年埼玉県所沢市生まれ。中国滞在20年目。北京大学・清華大学両校で10年間教鞭をとった後、中国110都市396校で「日本語学習方法」をテーマに講演会を行う(日本語講演マラソン)。現在は浙江省杭州に住み、日本で就職を希望する世界中の大学生や日本語スキル向上を目指す日本語教師向けにオンライン授業を行っている。目指すは「桃李満天下」。

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