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石井直子|イタリア

ヤニック旋風 テニスに沸くイタリア デビスカップ・ファイナルズ決勝戦へ

「イタリア対セルビア:シナーが2度にわたりジョコビッチを下し、イタリアがデビスカップ・ファイナルズ決勝へ」と伝えるデビスカップのサイトの写真。 引用元:https://www.daviscup.com/en/home.aspx

 昨日、11月25日土曜日は、男子テニスの国別対抗戦、デビスカップ・ファイナルズの5日目でした。二つ目の準決勝戦があり、イタリア時間で正午から、イタリアがセルビアと決勝進出をかけて戦いました。

 シングル2試合、ダブルス1試合の3試合のうち、シングル2試合目とダブルスでは、世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチの出場で苦戦が予想される中、シングル1試合目に出場したイタリアの選手、ロレンツォ・ムゼッティの勝利が期待されていました。ところがムゼッティは、第一セットを取ったものの、その後、第二・第三セットで巻き返されて敗れてしまい、このときは大勢がイタリア代表の決勝進出は難しいと考えたことと思います。

 シングル2試合目でジョコビッチに対峙したのは、世界ランキング4位のヤニック・シナーです。トリノで行われた男子テニスのシーズン最終戦、Nitto ATPファイナルズでは、22歳のヤニック・シナーが、11月19日の決勝戦でこそ、ミスのない完璧な試合をこなしたジョコビッチに敗れたものの、14日にはグループステージでの対戦で、ジョコビッチを相手に初めての勝利を収めていました。イタリアでは、その試合の前からすでに、ラジオやテレビで、「シナーの活躍のおかげで、これまでテニスに関心のなかった人たちがテニスの試合を観戦するようになった」と見聞きするようになっていました。また、ATPファイナルズでイタリアが決勝戦に進出したのは、1998年以来25年ぶりであったとのことです。

 ちなみに、Nitto ATPファイナルズ・トリノで、11月16日にシナーがデンマークの選手、ホルガ・ルーネと対戦したときは、シナーは勝っても負けても準決勝進出が確定していたのに対し、もしシナーがルーネに負けていれば、準決勝にはルーネが進み、ジョコビッチは進出できないことになっていました。そのため、夫や義弟は「強敵であるジョコビッチがいない方がシナーが優勝できる確率が高いから」と、シナーがルーネに負けるという策を取ってもいいのにと考えていたようですが、シナーはそういう作戦は使わずルーネに勝ち、それでジョコビッチが準決勝に進出できて、決勝で再び戦うこととなったのでした。決勝戦で敗れたあとのインタビューで、勝者のジョコビッチを心から称え、応援をありがとうございますと会場の観客に感謝を伝えるシナーの姿に、若いのにすばらしいなあと思いました。

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ヤニック・シナー ルーネにも勝利、無敗でファイナルズ準決勝へ、ジョコビッチも準決勝進出」と伝えるfanpage.itの記事 

 閑話休題。イタリア代表とセルビア代表が戦った、昨日のデビスカップ・ファイナルズ準決勝戦のシングル2試合目では、ですから、ヤニック・シナーが、王者ジョコビッチと11月14日以来3度目の対戦を果たすことになりました。この試合で、シナーがみごとに勝利を収めたときには、おそらくイタリア中で多くの人が歓声を上げて、これでイタリアの決勝進出の可能性が出てきたと期待を寄せたことと思います。ダブルスでもまた、シナーがロレンツォ・ソーネゴと組んで、ジョコビッチとミオミル・ケツマノビッチ相手に好戦して勝利を収め、イタリアが決勝に進出することとなりました。わたしも「これまでテニスの試合など見ていなかったのに、最近になってシナーやイタリア選手が活躍するテニスの試合を見るようになった大勢」の一人なのですが、解説者も言っていたように、ソーネゴと息が合い、うまく役割が分担できていたので、落ち着いて二人が力を発揮して、勝つことができたのではないかと思います。

 イタリア時間では今日、11月26日午後4時から始まる決勝戦の相手は、オーストラリア代表です。イタリアやセルビアと違って、オーストラリアのダブルスの選手たちは、実際に普段からダブルスで活躍して鍛えているので手ごわいと、解説者たちが言っていました。イタリア代表のコーチは昨日の試合後に、こうして勝つことができたのは、選手たちの活躍はもちろん、会場はもちろんテレビを通して応援してくれている大勢の皆さんのおかげで、それが皆に伝わってきたからでもありますと言っていました。今日も大勢のイタリアの人たちといっしょに、わたしたちもイタリア代表を、そうしてヤニック・シナーを応援します。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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