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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

旅行者増、イタリア春の祝祭と大型連休

今もペルージャ市民の散歩コース、Percorso Verdeに咲く美しい八重桜 2023/4/20 photo: Naoko Ishii

 日本のゴールデンウイークに先駆けて、イタリアでは例年、国民の祝日である4月25日のイタリア解放記念日の前後から、土日も利用して4月末から5月初めにかけて有給休暇を取って旅行に出かける人も多いゴールデンウイークのような期間が始まります。この期間は「春の連休」(Ponti di primavera)と呼ばれ、イタリアでは国民の祝日であるメーデー、5月1日の労働の日の頃まで続き、土日と有給をうまく組み合わせれば、長期旅行を楽しむことも可能となります。イタリアでは土日は休みという職場が多く、今年は4月25日が火曜日だったため、24日は職場全体が休みであったり、あるいは自主的にこの日に有給休暇を取ったりして、4月22日土曜日からすでに連休を楽しんでいる人もいます。また、5月1日が月曜日なので、4月29日土曜日から5月1日までの3日間が連休となるのはもちろん、26日から28日まで有休を取って、休みをさらに長く楽しむことも可能となっています。

 上のANSAの記事では、旅行会社532社を対象とした調査の結果によると、今年のイタリアの春の連休に、旅行会社のサービスを一部でも利用して旅をする旅行が250万、うちパッケージツアーを利用する旅行が67万5千に上り、一方、海外旅行には、150万人のイタリア人が出かけて、うち54万3千人がパッケージツアーを利用すると伝えています。

 この記事には、イタリアにおける復活祭(Pasqua)の旅行動向についても書かれています。復活祭は、春分の日のあとの最初の満月の次に来る日曜日に祝われ、年によって日にちが異なる移動祝日です。カトリック教会の復活祭は、今年は4月9日日曜日でした。イタリアでは復活祭の翌日の月曜日も国民の祝日で、学校や大学ではこの2日間前後の数日も休みになります。例えば、ウンブリア州の学校では、今年は4月6日木曜日から11日火曜日までが復活祭休みとなっていました。

 イタリアには「クリスマスは家族と、復活祭は好きな人と」(Natale con i tuoi e Pasqua con chi vuoi.)ということわざがあります。クリスマスは家族や親戚と祝う一方、復活祭は友人や恋人などと過ごすと、ことわざにはあっても、イタリアでは実際には、復活祭も家族で過ごして祝う家庭が多いようです。けれども、春になって暖かくなり、この春は感染下からようやく脱して自由に春を満喫できるようになったこともあり、今年は復活祭の休暇にも、多くのイタリア人が旅行を楽しんだとのことです。先のANSAの記事は4月6日付なので、旅行会社の回答を元にした予測ではありますが、今年の復活祭休暇には旅行会社のサービスを一部でも利用して旅をする旅行が200万、うちパッケージツアーを利用する旅行が55万3千に上るとのことです。一方、海外旅行には、120万人のイタリア人が出かけて、うち44万4千人がパッケージツアーを利用するとのことです。

 というわけで、復活祭休暇と4月末から5月初めにかけての春の連休を合わせると、イタリアの旅行会社では120万以上ものパッケージ旅行が購入され、昨年に比べて11%増となったとのことです。また、旅行の目的地はと言うと、昨年に比べて、イタリアの国内旅行は7%減、海外旅行は23%となっていて、「この春こそ久しぶりに海外での旅行を楽しもう」という人が増えたことが分かります。

 とは言え、この2日の連休の時期は、切符も宿泊費も高くなり、道路も観光地も混雑する傾向があることもあり、この時期に旅行をするのは避けて、家やその近くで過ごす人も少なくありません。わたしがいつも歩いているペルージャ市民の散歩コースには、復活祭前後も今週末も、散歩する人や自転車でゆく人が一気に増えています。大型連休にはあえて遠出をせずに、家の近くで散歩をしたりして、ゆっくり過ごす、あるいや休むという人も大勢いて、八重桜や黄花藤などの木の花や、キンポウゲ、ヒナギクなどの野の花がたくさん咲く散歩コースで、家族や友達とおしゃべりしたり、散歩をしたり、いっしょにピクニックをしたりする人を、たくさん見かけています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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