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イタリアの緑のこころ

石井直子|イタリア

3年ぶりに皆で祝うクリスマス にぎわう祝祭期間 感染拡大の恐れあるもイタリア市民は油断

ジョットの絵が映し出されるアッシジの聖フランチェスコ大聖堂に集う大勢の人々 2022/12/26 photo: Naoko Ishii

 日頃は遠く離れて暮らしている家族も帰省して、皆がそろって食事をし、なごやかに過ごして、敬虔に祈りを捧げる。そういう意味で、イタリアのクリスマスは、日本の大晦日や正月に通じるものが多いように思います。

 イタリアでも新型コロナウイルス感染症の拡大が深刻であった過去2年間は、2020年には移動規制のために前倒しで12月23日に皆でクリスマスを祝い、2021年には姪の一人が感染していたために義弟家族は来られぬままに祝ったのですが、今年になって2年ぶりに、ようやくクリスマス当日に大家族の皆で祝うことができました。

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アッシジ サンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会のクリスマスのミサ 2022/12/25 photo: Naoko Ishii

 アッシジ郊外の教会のミサには大勢の人が集い、かつては長椅子に二人だけが、それも十分な距離を取って座れるように、印がついたところに座らなければならず、マスクを着用しなければいけなかった教会で、今は大勢の人が自由に、隣の人のすぐ近くに座り、またマスクはしていない人の方が圧倒的に多い状況です。

 規制に縛られることも感染に脅かされることもなく過ごせる久しぶりのクリスマスという思いを多くの人が抱いているのでしょう。この冬は、イルミネーションが美しくクリスマス市の露店が並ぶペルージャの中心街も、大聖堂や教会、中心広場のプロジェクションマッピングやプレゼーペがみごとなアッシジの中心街も、大勢の人々でにぎわっています。「にぎわっています」と現在形であるのは、イタリアではクリスマスの祝祭期間は、1月6日の主顕節まで続くからです。そうして、教会の中でも、時に人波をかき分けなければいけないほど混雑する町の通りでも、マスクを着用している人はほとんどいません。

 幸い、イタリアでは今は新型コロナウイルによる感染こそ減少傾向にあるものの、インフルエンザが猛威をふるっている上に、最近は、親戚や夫の同僚など、知人が新型コロナウイルスに感染したという話を耳にしています。

 イタリアでもさっそく中国からの旅行客に対する水際対策を取り、マルペンサ空港での検査では半分の乗客が陽性だったものの、ゲノム解析では今のところは新たな変異株は検出されていません。

 けれども、新たな保険省令では、「今後の感染症の変化は予測不可能であり、もし状況が悪化すれば、医療機関や老人ホーム以外でも屋内でのマスク着用を義務化し、在宅勤務や集会の規制も検討する。また、医療機関は、病床や医療従事者、薬などの数が感染者が増えた場合にも対処できるよう準備するものとし、高齢者や重症化する危険が高い人への4回目のワクチン接種を推進し、中国における感染爆発からも検査やゲノム解析を強化するものとする。」としています。

 これから年末年始にかけて、帰省して家族が集う機会が増えることもあり、保健相は、高齢者や重症化の危険がある人と接するときにはマスクを着用して、感染の危険から守るように呼びかけています。スーパーでもにぎわう町中でも、映画館でも、もうマスクをしている人の方が少ない状況であるイタリアで、今後、再び感染が拡大することのないよう願っています。

 

Profile

著者プロフィール
石井直子

イタリア、ペルージャ在住の日本語教師・通訳。山や湖など自然に親しみ、歩くのが好きです。高校国語教師の職を辞し、イタリアに語学留学。イタリアの大学と大学院で、外国語としてのイタリア語教育法を専攻し卒業。現在は日本語を教えるほか、商談や観光などの通訳、イタリア語の授業、記事の執筆などの仕事もしています。

ブログ:イタリア写真草子 Fotoblog da Perugia

Twitter@naoko_perugia

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