Fair Dinkum フェアディンカム・オーストラリア
テイラー・スウィフトのオーストラリア公演で指摘された豪州と米国の決定的な違いとは?
今、オーストラリアは、テイラー・スウィフト旋風一色!といっても過言ではないほど、彼女の名前を聞かない日はない。
16日から始まったメルボルン3公演を皮切りに、シドニーでの4公演もすべて完売。スウィフティーと呼ばれるファンらは、チケットを買い損ねても最後まで諦めず、なんとかゲットしようと公演開始直前まで躍起になっているそうだ。
テイラー・スウィフト、メルボルン公演で「Getaway Car」「August」「The Other Side of the Door」をメドレーでサプライズ披露 https://t.co/SDnSag2RTD
-- Billboard JAPAN (@Billboard_JAPAN) February 19, 2024
大盛況となったメルボルンでの初公演をきっかけに、奇しくもアメリカとオーストラリアの、ある決定的な違いが浮き彫りとなる出来事があった。
それは、TikTokユーザーの @swiftiealyceさんが投稿したテイラー・スウィフト・メルボルン公演の動画に対して、米国のテイラー・スウィフト・ファンが書き込んだメッセージが発端だった。
オーストラリアで撮影された動画のクオリティが高いのはなぜ?
@swiftiealyceさんは、膨大な数のテイラー・スウィフトのライブを撮影した動画を投稿しているが、それを見た米国のファンのひとりが、こう書き込んだ。(参照)
「What phones are Aussies using? All the videos I've seen are so crisp and clear...(オージーはどんな携帯を使っているの?動画はどれも、私が見たのはすごく鮮明でクリアなんだけど...)」
このコメントにはたくさんの「いいね」や返信が付き、他の海外の人も知りたいという声が書き込まれた。
すると、このコメントに対し、その理由として、こんなことが考えられると書き込んだ人が現れた。
「I feel like the air quality makes a huge difference(空気のクオリティが大きな違いを生むんじゃないかな)」
「When I was in the USA my videos looked grainy, while in Aus it's perfectly clear even in zoom.(アメリカにいるときは動画が粗く見えたけど、オーストラリアではズームしても完璧に鮮明です)」
こうした、米国に住んでいたことがあると思われる人からのコメントは、なんだかとても信憑性があるようにも思える。さらに、米国とその他の国での体験を比較したこんなコメントをする人も現れた。
「I have an iPhone and there was a huge difference in quality of videos I took in the USA vs elsewhere(私は iPhone を持っているけど、アメリカで撮った動画と他の国で撮った動画のクオリティには大きな違いがあったわ)」
・・・ということは、同じiPhoneやスマホで撮影しても、米国で撮った動画は鮮明ではないということなのだろうか...?
これらのやりとりを見ていて、米ラスベガスからロサンゼルスまで、自ら車を運転して移動した時のことを思い出した。何時間ものドライブの末、遥か遠くにロサンゼルスの街が見えてきた時、思いもよらない光景を見てしまったのだ...。
それは、ロサンゼルスの街の上空を覆う、灰色がかったベールのような空気の層。上空の空気が塊のように見えるのは、おそらく塵や埃などがたくさん舞っているからなのだろう。灰色の空気の塊がドームのように、すっぽりとビル群を包み込んでいるようにも見えた。その時、「ああ、これが大気汚染というものなのか...?」と、妙な感動を覚えたのを今でもよく覚えている。
米国といえども広いので、このような現象が見られるのは都市部周辺だけだと思うが、オーストラリアに来てからというもの、もう地球を何周もするくらいこの大陸のあちこちを走っているけれど、そうしたものを見たことは一度もない。
オーストラリアのエア・クオリティは世界第2位
米イェール大学の環境法政策センターが、「エア・クオリティ 世界ランキング」という、興味深いデータを発表している。これは、PM2.5 曝露、家庭用固形燃料、オゾン曝露の3つの指標で構成された空気の質=クオリティ(大気環境)を基に、各国の大気汚染が人間の健康に与える直接的な影響を測定したものだそうで、このランキングによると、オーストラリアは第2位、アメリカは16位となっている。
これが本当だとすると、空気のよどみ具合(汚染度)によって、携帯電話を用いた動画撮影のクオリティに違いがでるというのも、あり得ない話ではないのかもしれない。だとしたら、オーストラリアはもとより、全体的に人口が少ない南半球(一部を除く)や大気汚染が抑えられている国は、動画撮影に最適な場所ということにもなりそうだし、同じデバイスを使って、さまざまな国で撮影したものを比較してみるのも面白そうだ。〈了〉
著者プロフィール
- 平野美紀
6年半暮らしたロンドンからシドニーへ移住。在英時代より雑誌への執筆を開始し、渡豪後は旅行を中心にジャーナリスト/ライターとして各種メディアへの執筆及びラジオやテレビへレポート出演する傍ら、情報サイト「オーストラリア NOW!」 の運営や取材撮影メディアコーディネーターもこなす。豪野生動物関連資格保有。在豪23年目。
Twitter:@mikihirano
個人ブログ On Time:http://tabimag.com/blog/
メディアコーディネーター・ブログ:https://waveplanning.net/category/blog/