ウクライナ、愛国心と利益追求が支える戦時国債
「新しい国債を買いましょう。それは寄付のようなものです」と弁護士のオレシア・ミハイレンコ氏(30)は約1万4000人のソーシャルメディアのフォロワーに対し、ウクライナの戦時国債を購入するように呼びかけた。10月9日、キーウのカフェで撮影(2024年 ロイター/Thomas Peter)
「新しい国債を買いましょう。それは寄付のようなものです」と弁護士のオレシア・ミハイレンコ氏(30)は約1万4000人のソーシャルメディアのフォロワーに対し、ウクライナの戦時国債を購入するように呼びかけた。短文投稿サイト「X」(旧ツイッター)で自身の国債のポートフォリオのスクリーンショットも公開した。
金融市場の知識を持ち、ウクライナ国債の初期投資家であるミハイレンコ氏は、ロシアとの戦闘に資金を提供するよう国民に奨励している政府の広範な取り組みに応じた。
ミハイレンコ氏は首都キーウ近郊のカフェでロイターに「これはまず国家を助ける方法であり、第2にかなり高い国債利回りを考慮すると、インフレから(ウクライナの通貨)フリブナ守る方法にもなる」と語った。さらに、フォロワーの多くが自身の助言に従って戦時国債に投資していると付け加えた。
戦闘が32カ月目に入ったウクライナにとって、国民に国債を買ってもらう必要性がますます高まっている。戦闘のための資金調達コストが膨らみ、ウクライナの財政にぽっかりと穴が空いている。防衛部門の資金を調達するため、年内に120億ドルを追加で確保する必要がある。
戦時中のため国際債券市場はウクライナに対して門戸を閉じており、S&Pグローバルはウクライナの外貨建て信用格付けを「選択的」デフォルト(債務不履行)と定義している。
ウクライナ政府は今年夏、200億ドル超の外貨建て国債を再編することで債権者グループからの承認を得た。返済負担の軽減は今後3年間で114億ドルとなる。
政府高官は財政赤字を縮小するためにロシアとの開戦後で初めてとなる増税を計画しており、国内市場でより多くの資金を調達する必要があると指摘している。
財務省によると、9月の国内借り入れは前月の2倍超となり、戦時国債289億ドルの発行を含めて724億フリブナ(18億ドル)を国債で調達した。
2025年の財政赤字は380億ドル程度を想定しており、海外からの資金援助は今後数年間に減ると予想されているため、国内でより多く借り入れる必要がある。
<国民と銀行の投資>
国債の主な買い手は商業銀行だが、ロシアの侵攻が始まってから国民と企業が戦時国債により多くの資金を投入している。
財務省はロイターに対して「国債に対する国民の関心は急上昇した」とコメントし、この傾向が続くとの見通しを示した。
財務省によると、個人による国債投資は10月初めに712億フリブナとなり、22年2月の255億フリブナ(6億2200万ドル)から急増した。また、個人投資家が国債ポートフォリオに占める割合は4%強だと説明した。