世界に不可欠な存在となった台湾の「半導体」産業...「中国リスク」の高まりで、どんな影響が?
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──半導体産業での台湾の役割を脅かす主なリスクは?
半導体供給網にとってのリスクは人材不足や知的財産・企業秘密の盗用、天災、原材料・装置不足、需給の不均衡だ。台湾の場合、現在進行形の人材不足、悪天候や地震によるインフラ・設備の破損が大きなリスクに挙げられる。部分的な混乱が起きる可能性は高いが、影響は短期的で、深刻度もより低いだろう。
さらに、そこまで現実的ではないものの、中国の攻撃的行動が危機を招く2つのシナリオが想定できる。中国が経済封鎖で物品・サービス貿易を制限しようとした場合、台湾の半導体産業は重大かつ中期的な混乱に陥りかねない。
中台戦争が勃発すれば、大きな混乱が1年以上続くだろう。とはいえ、中国による侵攻が台湾の半導体業界に与えるダメージや、戦争長期化の影響をめぐっては見解が一致しない。台湾の半導体生産に中国経済も大きく依存している現状では、近い将来に侵攻があるかどうかも疑問だ。
──企業は混乱に備えているか。
半導体製造、なかでもファウンドリ企業は地理的な多様化を図っている。TSMCが米アリゾナ州で建設中の新工場がいい例だ。
台湾の半導体企業は既に大規模な防災投資を行い、水循環の強化や電力アクセス確保を進めている。人材確保を狙って、政府と企業が大学の教育プログラムに資金提供も行う。リスク管理チームを設立し、サプライチェーンの多様化や強化にも努めている。多くの半導体企業にとって、今やレジリエンス(回復力)構築が最重要課題だ。
──国際的な半導体エコシステムを地政学的リスクから守る、台湾政府の取り組みの効果は?
基幹産業である半導体業界が「空洞化」する可能性と、国際エコシステムのチームプレーヤーという位置付けの間で、台湾はバランスを取らなければならない。台湾はアメリカ主導の各種措置を支持してきた。中国の華為技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)への製品供給制限を遵守し、米韓日台の半導体供給網構想「チップ4同盟」に中核メンバーとして参加している。
台湾は一貫してアメリカや同盟国と手を組み、中国に対抗しようとしている。花形産業がむしばまれかねないとの懸念が足元にあるが、問題解決の一助になることを望んでいる。