「コーヒー版OPEC」とは?...先進国3社の搾取からコーヒー生産国を守る唯一の道について
TIME FOR A COFFEE CARTEL?
問題は、消費者市場参入の壁が非常に高いこと。しかもブランド立ち上げにはかなりのリソースを費やす上に、それなりのリスクを覚悟する必要がある。
企業がこうした問題を回避するには既存のブランドを買収するのも手だろうが、選択肢はもう1つある。OPEC(石油輸出国機構)のコーヒー版のような「カルテル」を設立することだ。
そうすれば先進諸国に対して、価格と関税の交渉力も高められる。斬新すぎる策に思えるかもしれないが、途上国・新興国の生産国上位10カ国がコーヒー市場の90%近くを占めていることを考えれば、成功する可能性はある。
そのためにはまず、小規模なコーヒー企業の合併・買収を進め、統合しなくてはならないだろう。大企業となって公的な研究機関と手を組めば、品質を向上させ、商品の付加価値を上げられる可能性もある。
もちろん、世界のコーヒー市場の格差是正に取り組むためには、国連やG20といった場もある。だが、途上国・新興国がコーヒーの利益率を上げようとしても先進国に阻まれている限り、自力で何とか問題を解決するしかない。関税に助成金、敵対的買収、そしてコーヒーカルテルも含めて、あらゆる選択肢を検討するべきだ。
グン・リー
KEUN LEE
韓国・大統領国家経済諮問委員会副会長。ソウル大学特別名誉教授(経済学)。国連開発政策委員会メンバーやソウル大学国際大学院教授などを経て現職。