「先延ばし傾向」 と抑うつ、不安、睡眠の質の悪さ、孤独......とは関係がある、との研究結果
「先延ばし」 と抑うつ、不安、睡眠の質の悪さ、孤独......と関係がありそう...... Creative Lab-shutterstock
<「先延ばしする人は心身の健康を損なうリスクが高いのか」、スウェーデンの学生3525人を対象に研究調査が実施された......>
やるべきことを後回しにする「先延ばし」と心身の不健康との間に関連性があることがわかった。スウェーデン・スフィアヘメット大学、カロリンスカ研究所らの研究チームは、2023年1月3日付の医学誌「JAMAネットワーク・オープン」でその研究成果を発表している。
研究チームは、「先延ばしする人は心身の健康を損なうリスクが高いのか」を調査するべく、2019年8月19日から2021年12月15日まで、首都ストックホルムと中部エレブルーの8つの大学に在籍する学生3525人を対象に縦断研究を実施した。被験者の63%は女性で、平均年齢は24.8歳であった。
抑うつ、不安、睡眠の質の悪さ、孤独......と関係が
被験者は1年にわたって3カ月ごとにアンケートに回答。被験者全体の73%にあたる2587人が9か月後の追跡調査に参加し、総体的な健康状態、メンタルヘルス、生活習慣などを含む健康転帰が評価された。
その結果、先延ばし傾向の強さは、抑うつ、不安、ストレス、肩や腕の痛み、睡眠の質の悪さ、運動不足、孤独、経済的困難と関係があった。
先延ばし傾向と特に関連性が強い項目は見つからなかったが、先延ばしが幅広い健康転帰にとって重きをなしている可能性は否定できない。研究論文では、今回の研究結果について「学生に先延ばしが多いことを鑑みると、学生の健康への理解を深めるうえで意義があるだろう」と評価している。
なお、今回の研究結果は因果関係を裏付けるものではない。また、現時点で考慮されていない他の要因が、先延ばしとその後の健康転帰との関係を説明づける可能性も残されている。
先延ばし傾向は改善できる
先延ばし傾向は改善できる。2016年9月に発表された研究論文では、先延ばしの改善に認知行動療法が効果的であることが示された。これは、長期的な目標を短期に分割したり、注意散漫をマネジメントしたり、ネガティブな感情を持ちながらタスクに集中するなどして、先延ばしを克服するというものだ。
研究チームは、タスクに集中しなければならないときスマートフォンを別の部屋に置いておくなど、小さなことから取り組むように説いている。