最新記事

火星

火星探査車が30センチの鉄隕石を発見した

2023年2月24日(金)20時45分
松岡由希子

「キュリオシティ」が撮影した画像19枚を合成したもの (Image credit: NASA/JPL-Caltech)

<NASAの火星探査車「キュリオシティ」によって、大きさ約30センチの鉄ニッケル隕石が発見され、「カカオ(Cacao)」と名付けられた......>

2012年8月から火星のゲール・クレーターを探査するアメリカ航空宇宙局(NASA)の火星探査車「キュリオシティ」は、2022年夏、ゲール・クレーター中央のアイオリス山(シャープ山)の硫酸塩含有領域に到達し、探査活動を続けている。2023年1月には大きさ約1フィート(30センチ)の鉄ニッケル隕石が発見され、「カカオ(Cacao)」と名付けられた。

NASAは2月2日、「キュリオシティ」がとらえた「カカオ」の画像4枚を公開した。
このパノラマは、1月28日に「キュリオシティ」の「マストカメラ」が100ミリメートルの焦点距離で撮影した画像19枚を地上で合成したものだ。画像の色調は、ヒトの目が知覚するときの照明条件に合わせて調整されている。
2枚目以降の写真は、次ページに。
>>■■【画像】「キュリオシティ」の影からみた「カカオ」

鉄隕石の多くは溶解した小惑星の核に由来する

「キュリオシティ」は2016年10月にも、アイオリス山の下部でゴルフボールくらいの大きさの球状の鉄隕石「エッグロック」を発見し、マストカメラと「ケムカム(ChemCam)」でその姿を撮影している。

鉄隕石の多くは溶解した小惑星の核に由来する。つまり、「カカオ」や「エッグロック」といった鉄隕石は、様々な小惑星が分裂し、その核の破片が火星に降り注いだことを示す記録でもある。太陽系の歴史をさかのぼれる可能性がある点でも、これらの鉄隕石は科学的な関心を集めている。

>>■■【画像】観測装置「ケムカム」から「カカオ」を接写

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 4
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 5
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 8
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 9
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 10
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中