「地球とほぼ同じ大きさ」の太陽系外惑星──ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で初めて観測される
太陽系外惑星「LHS 475 b」(手前)が、赤色矮星「LHS475」(上)を公転する想像図 NASA
<ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測で初めて、太陽以外の恒星を公転する「系外惑星」が確認された......>
2021年12月に打ち上げられたジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の観測で初めて、太陽以外の恒星を公転する「系外惑星」が確認された。2023年1月11日、アメリカ天文学会(AAS)第241回会合でその研究成果が発表されている。
この系外惑星「LHS475b」は、41光年先のはちぶんぎ座にある赤色矮星「LHS475」を約2日周期で公転している。その半径は地球の0.99倍で、地球とほぼ同じ大きさだ。
>>■■【動画】ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、地球サイズの太陽系外惑星、観測!
「この惑星がそこに存在することは間違いない」
2018年4月に打ち上げられたアメリカ航空宇宙局(NASA)のトランジット系外惑星探索衛星(TESS)でその存在はすでに示唆されていた。その後、米ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所(APL)の研究チームがジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測対象として「LHS475」系を選定した。
研究チームは2022年8月31日と9月4日にジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の近赤外線分光器(NIRSpec)で「LHS475b」が主星「LHS475」の手前を横切る「トランジット」を計2回観測した。
研究論文の筆頭著者でジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所のジェイコブ・ルスティヒ-イェーガー研究員は「この惑星がそこに存在することは間違いない。ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データがそれを証明している」とコメントしている。
メタンの大気は存在しないが二酸化炭素は...?
研究チームは透過スペクトルを分析し、「LHS475b」の大気について解明しようと試みたが、大気の存在を確定的に結論づけるまでには至らなかった。土星の衛星「タイタン」のようなメタンが多く含まれる厚い大気は存在しないと考えられる一方、検出されづらい二酸化炭素でその大気が組成されている可能性は否定できない。
今回の観測では「LHS475b」の平衡温度が華氏586度(摂氏約308度)で、地球よりも高いことも明らかとなった。もし雲が検出されれば、「LHS475b」は、二酸化炭素の大気があり、常に厚い雲に覆われる金星と似ている可能性もある。
NASAの天体物理学部門のディレクターを務めるマーク・クランピン博士は、今回の観測結果について「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡による岩石惑星の大気の研究の可能性を大いにひらくものだ」と高く評価した。研究チームでは2023年夏の観測で追加のデータを取得する計画だ。