最新記事

動物

猫はどんな時に「ふみふみ」するのか? ふみふみの科学

2022年12月16日(金)17時55分
松岡由希子

猫の「ふみふみ」行動は、授乳の促進や母子のコミュニケーションとして進化してきた......FatCamera-iStock

<猫が前肢を交互に動かし、リズミカルに「ふみふみ」し続ける動作は「ニーディング」と呼ばれるが、その意味とは......>

猫が前肢を交互に動かし、毛布やクッションなどをリズミカルに「ふみふみ」し続ける動作は、生地をこねる(ニーディング)様子に似ていることから、「ニーディング」と呼ばれる。
なぜ、猫はニーディングをするのだろう。豪アデレード大学の研究チームは2022年12月8日付のニュースサイト「ザ・カンバセーション」の寄稿記事で、その理由を解説している。

>>■■【動画】猫がふみふみする幸せムービー集

猫の肉球からフェロモンが分泌される

猫は子猫のときからニーディングをする。ニーディングは授乳と関連しており、子猫が母猫をニーディングして母猫の乳汁分泌を促すのだ。

またニーディングは、ふれあいやフェロモンによる子猫と母猫とのコミュニケーションでもある。猫の肉球には臭腺があり、ニーディングすると、この臭腺からフェロモンが分泌される。子猫は母猫にニーディングしてフェロモンを分泌させ、母猫との絆や健康状態など、様々なメッセージを伝えている。

このようにニーディングは授乳の促進や母子のコミュニケーションにおいて進化してきたが、成猫でもよくみられる。ニーディングはメッセージを伝える手段として、人間や他の猫、動物との交流にも役立てられているのだ。たとえば、猫が飼い主の膝にニーディングする動作は「あなたは私の仲間だ」というメッセージである。

飼い主が猫のニーディングにご褒美を与えることで、この動作が強化されることもある。また、柔らかい毛布をニーディングするのを好む猫もいる。この動作によってリラックスしたり、癒されたりするようだ。一方で、猫にも個性があり、ニーディングをしない猫もいる。

ニーディングが非常に頻繁で長い場合は......

ニーディングは概ね、猫が心地よい状態であることを示すものだ。しかし、ニーディングが非常に頻繁で長かったり、強迫的にみえたり、足や口を傷つけはじめている場合、猫がストレスや痛みを感じている兆候かもしれず、注意が必要だ。

ニーディングは猫の正常な動作であり、猫にとっては飼い主との絆を感じる重要なものかもしれない。研究チームは「飼い主は猫のニーディングを叱ったりせず、猫の爪が当たって気になるようであれば厚手の毛布で足を覆い、猫があまり爪を立てずにうまくニーディングできたら、褒めたり、ご褒美を与えたりしよう」とアドバイスしている。

>>■■【動画】猫がふみふみする幸せムービー集

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中