最新記事

欧州

イタリア首相「企業国有化はせず」  欧州委は最大11兆円規模の支援策

2020年4月2日(木)19時00分

イタリアのコンテ首相(写真)、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が企業を国有化することはないが、「黄金権限」を利用して戦略産業の株式の買い占めを防ぐと述べた。ローマで3月撮影(2020年 ロイター/Alberto Lingria)

イタリアのコンテ首相は2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が企業を国有化することはないが、「黄金権限」を利用して戦略産業の株式の買い占めを防ぐと述べた。

現地紙イル・ファット・クオティディアーノとのインタビューで述べた。

政権内では、一部の投資家が新型コロナの感染拡大を受けた株価の急落に乗じて、銀行や保険会社などの株式を買い占めるのではないかとの懸念が浮上している。

コンテ首相は、戦略産業の株式の買い占めを阻止できる黄金権限を「欧州レベルで強化する」必要があるとも発言した。

一方、欧州委員会のフォンデアライエン委員長はイタリア紙ラ・レプブリカに寄稿し、欧州連合(EU)が団結して新型コロナ対策を進めるべきだと主張。EUが労働者の賃金補填と雇用維持のため、イタリアを皮切りに最大1000億ユーロ(1100億ドル)を感染国に割り当てる方針を示した。

欧州委は1日、賃金補助を提案していたが、金額の詳細は明らかにしていなかった。

コンテ首相は「風向きが変わっている」とし、欧州共同債の発行に反対しているドイツとオランダに対し「欧州という視点で物事を考える」よう求めた。

フォンデアライエン委員長も、新型コロナの感染拡大当初、あまりにも多くの国が自国のことだけを考えていたと批判した。

コンテ首相は第2弾の緊急経済対策について、4月中旬までに議会を通過させたいとも述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・BCGワクチンの効果を検証する動きが広がる 新型コロナウイルス拡大防止に
・中国からの医療支援に欠陥品多く、支援の動機を疑えとEU警告
・人前で「コロナ」と言ったりマスクをするだけで逮捕される国とは


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ローマ教皇の墓を3万人超が訪問、葬儀から一夜明け

ビジネス

午前の日経平均は続伸、米中摩擦緩和を好感 中盤から

ビジネス

英経済の信頼感、向こう12カ月は統計史上最低に落ち

ビジネス

中国バイトダンス、ブラジルでのデータセンター建設を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 5
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 6
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 7
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 8
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中