香港からサイパンに向かっていた日本人女性が、空港で妊娠検査を強要された......その理由は?
香港からサイパンに向かう女性が妊娠検査をするよう航空会社に強要された...... Tyrone Siu-REUTERS
<香港からサイパン島に向かっていた日本人女性が、妊娠検査をするよう航空会社に強要されていた。その原因は、近年の中国でのある流行があった......>
サイパン島に向かっていた日本人女性(25)が香港の空港で搭乗前、妊娠検査をするよう航空会社に強要されていたことがわかった。
サイパン育ちで東京在住のこの女性は昨年11月、家族が住むサイパンに向かっていた。香港国際空港で香港エクスプレス航空の搭乗チェックインの際、航空会社の係員から、妊娠していないことが搭乗条件の一つだと説明を受け、トイレに付き添われて妊娠検査をするよう指示されたという。
近年、「サイパン出産旅行」が問題になっており、その対策として、同社はサイパン当局からの依頼で、体形が妊婦のように見える女性に対し妊娠検査をした事実を認め、後日謝罪した。
サイパン出産旅行とは?
アメリカ自治領であるサイパン島で生まれると、アメリカ本土同様に、アメリカ市民権が与えられる。これを利用して近年、外国からの「出産旅行」が増えている。
アメリカ国勢調査および、北マリアナ保健・人口統計局の発表では、サイパン島など14の島から成る北マリアナ諸島の人口は5万人。サイパン島民による出産で誕生した子どもの数が2018年の時点で492人なのに対し、旅行者から誕生した子どもの数は582人にも上ったという。しかも582人のうち575人が中国人旅行者で、残りはフィリピン人や日本人、韓国人なども含まれる。
その数はこの10年で急増した。2008年に、サイパンで中国人観光者が出産した数は年間20人弱だったが、2009年、中国人へのビザポリシーが緩和し、本土と異なりサイパンには、中国人であっても「ビザなし」で渡航できるようなって急増した。つまり、日本人旅行客が香港の空港で強要された妊娠検査は、サイパン当局により水際対策のとばっちりとも言えるものだったのだ。
なぜアメリカで出産するか?
ニュースウェブサイト「マーケットプレイス」は昨年、「なぜ中国人は出産のためにアメリカに来るのか?」という記事で、実際にアメリカ国内で出産した中国人カップルにインタビューした。