最新記事

自動運転

自動運転車の大敵は「虫」だった

2019年9月10日(火)16時00分
佐藤由紀子

センサーに水を吹き付ける Ford Motor

<自動運転のカメラやセンサーを正常に稼働させるためには、「虫」への対策が必要だった......>

現在、IT企業や自動車大手が競って自動運転車を開発している。自動運転車は多数のカメラやセンサーを搭載し、それらで集めたデータを車上のコンピュータソフトウェアでリアルタイムで解析しながら走行する。

どんなに高度なソフトウェアを開発しても、カメラやセンサーが正確なデータを収集できなければ安全な運転は実現できない。

空気を噴射、さらに水を噴射

米Ford Motorで自動運転車技術チームを率いるヴェンキー・クリシュナン氏は9月4日、センサーを正常に稼働させるためのハードウェアでの取り組みをブログで紹介した。

同氏によると、自動運転車の大敵は「虫」だ。ソフトウェアの「バグ(虫)」も大敵だが、ここではリアルな「虫」。センサーにぶつかってつぶれる虫は、自動運転に必要なデータに深刻な影響を及ぼす。

そこで、クリシュナン氏のチームはルーフトップのセンサー群を固定するために取り付けるティアラ状の部品に虫対策のいくつかの機能を追加した。

まず、カメラのレンズに向かってティアラに開けた穴から空気を噴射し、レンズに虫がぶつからないよう「エアカーテン」を作るようにした。これでレンズにぶつかって命を落とす虫が減る。

sato0910b.gifFord Motor

それでもぶつかってくる虫の残骸でレンズが汚れるので、各レンズのそばに水を噴射するためのノズルを設置した。レンズの汚れを検知するソフトウェアのアルゴリズムを開発し、汚れるたびに、汚れたレンズだけを水で洗い流す。水洗後は、空気を噴射してすぐにレンズを乾かす。

クリシュナン氏のチームは、こうしたハードウェア関連の技術で50件以上の特許を取得した。ティアラは現在、デトロイトやピッツバーグでテスト中の同社の第3世代の自動運転車に取り付けられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

韓国大統領が戒厳令、国会は「無効」と判断 軍も介入

ビジネス

米求人件数、10月は予想上回る増加 解雇は減少

ワールド

シリア北東部で新たな戦線、米支援クルド勢力と政府軍

ワールド

バイデン氏、アンゴラ大統領と会談 アフリカへの長期
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
特集:サステナブルな未来へ 11の地域の挑戦
2024年12月10日号(12/ 3発売)

地域から地球を救う11のチャレンジと、JO1のメンバーが語る「環境のためできること」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康体の40代男性が突然「心筋梗塞」に...マラソンや筋トレなどハードトレーニングをする人が「陥るワナ」とは
  • 2
    NewJeansの契約解除はミン・ヒジンの指示? 投資説など次々と明るみにされた元代表の疑惑
  • 3
    NATO、ウクライナに「10万人の平和維持部隊」派遣計画──ロシア情報機関
  • 4
    スーパー台風が連続襲来...フィリピンの苦難、被災者…
  • 5
    シリア反政府勢力がロシア製の貴重なパーンツィリ防…
  • 6
    なぜジョージアでは「努力」という言葉がないのか?.…
  • 7
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 8
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 9
    「92種類のミネラル含む」シーモス TikTokで健康効…
  • 10
    赤字は3億ドルに...サンフランシスコから名物「ケー…
  • 1
    BMI改善も可能? リンゴ酢の潜在力を示す研究結果
  • 2
    エリザベス女王はメーガン妃を本当はどう思っていたのか?
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    メーガン妃の支持率がさらに低下...「イギリス王室で…
  • 6
    ウクライナ前線での試験運用にも成功、戦争を変える…
  • 7
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖…
  • 8
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 9
    エスカレートする核トーク、米主要都市に落ちた場合…
  • 10
    バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きず…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中