最新記事

ファーウェイ

ソフトバンク傘下のプロセッサ企業、英ARMもファーウェイとの取引停止か

2019年5月23日(木)10時30分
佐藤由紀子

ファーウェイ包囲網がさらに狭まる...... Eric Gaillard-REUTERS

<英国のプロセッサ企業ARMが、Huawei(ファーウェイ)との取引を停止する、と英BBCが報じた>

トランプ政権による中国Huawei(ファーウェイ)たたきに英国のプロセッサ企業ARM(2016年にソフトバンクが買収)までもが加勢するようだと、英BBCが5月22日に報じた。

ARMは英国企業だが、"米国原産の技術"が含まれているから......

ARMは、プロセッサの設計を提供する企業。ARM自身は設計を提供するのみだが、Qualcomm製CPUなど、スマートフォン向けプロセッサの9割はARMベースといわれる。

ARMは英国企業ではあるが、ARMのプロセッサ設計には"米国原産の技術"が含まれているため、トランプ政権の決定に沿う必要があると、BBCが入手したARM社内メモに書かれていたという。

米商務省が5月15日に米企業からHuaweiへの輸出を事実上禁じた後、米国のプロセッサメーカーのIntelやQualcommがHuaweiとの取引を停止したと報じられている

Huaweiは独自プロセッサ「Kirin」を持っているので、スマートフォンのプロセッサをQualcommから購入できなくなっても、少なくともハードウェアについては切り抜けられるとみられていた。

だが、KirinはARMの設計を採用している。既存の製品はこのまま提供可能だが、今後ARMからのライセンスを得られなければKirinの新製品開発は非常に困難になる。

ファーウェイは独自プロセッサと独自OSを準備?

また、Huawei製スマートフォンはAndroidベースでGoogleが提供する「Gmail」などのAndroidアプリを採用しているが、Googleがソフトウェアの提供などの一部ビジネスを停止したと報じられている。Googleは具体的な決定内容を開示していないが、Huaweiが今後発売するスマートフォンで、Googleのアプリが使えなくなる可能性がある。

Huaweiは、独自プロセッサと独自OSを準備しているとしているが、ARMとGoogleの協力なしでは難しそうだ。

米調査会社IDCによると、Huaweiは2019年第1四半期(1〜3月)の世界でのメーカー別スマートフォン市場で韓国Samsung Electronicsに次ぐ2位だったが、この逆風の中、Huaweiが世界でのシェアランキングを落とすことになりそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米相互関税は世界に悪影響、交渉で一部解決も=ECB

ワールド

ミャンマー地震、死者2886人 内戦が救助の妨げに

ワールド

ロシアがウクライナに無人機攻撃、1人死亡 エネ施設

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中