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BOOKS故ホーキング博士、遺伝子操作による「超人間」の誕生に懸念:遺作エッセイが出版
ホーキング博士が答える10の「大きな疑問」 Lucas Jackson-REUTERS
<スティーブン・ホーキング博士の遺作のエッセイ集が出版され、「神は存在するか」「未来は予測できるか」など10の疑問に答えている>
近い将来、遺伝子操作によって身体的に改良された「超人間」が誕生し、既存の人類が絶滅に追いやられるおそれがある――。今年3月に他界した物理学者スティーブン・ホーキング博士が、このほど出版された遺作のエッセイ集の中で、そんな警鐘を鳴らしている。
超人間の誕生と懸念
英ガーディアン、本誌米国版などが報じた。ホーキング博士は著書の中で、遺伝子工学に関して、人間に対する遺伝子操作を禁止する法律がおそらく今後制定されるだろうと予測。ただし、記憶力、病気への耐性、寿命といった人間の特徴を改良する誘惑にあらがえない人も出てくるはずで、(高額な施術費用を払える)富裕層は子孫のDNAを改変して能力を高めようとするだろう、と予言している。
このような遺伝子的に改良された「超人間(superhuman)」が登場すると、彼らよりも能力で劣る既存の人類との間で格差が生じ、重大な政治問題になると指摘。超人間と競争できない人類は「絶滅するか、重要でない存在になっていく」と警鐘を鳴らした。代わりに、「加速度的に自己の改良を続ける新たな種が台頭する」との予測を示している。
ホーキング博士はこうした予測の根拠の一例として、2012年に特許申請された遺伝子編集技術「CRISPR(クラスター化規則的間隔占有短鎖パリンドローム反復)-Cas9」を挙げている。これは、ゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することを可能にする技術で、すでに特定の疾病の治療に実用化されているという。
遺作の概要
ホーキング博士の遺作は『Brief Answers to the Big Questions』(大きな疑問への簡潔な回答)と題され、英出版社ジョン・マレーから今月16日に刊行された。同博士が生前、科学者や政治的指導者、起業家や経営者らから繰り返し尋ねられた疑問に対し、回答をまとめたものだという。
疑問は10項目あり、「神は存在するか」「万物はどのように始まったか」「未来は予測できるか」「ブラックホールの中には何があるか」「宇宙に他の知的生命体はいるか」「人工知能は人類よりも賢くなるか」「人類はどのように未来を実現すべきか」「人類は地球で生き残るのか」「人類は宇宙に入植すべきか」「タイムトラベルは実現するか」となっている。