北朝鮮がロシアへの国際列車ツアーを解禁した──平壌からモスクワへ
北朝鮮は外国人のローカル駅での降車は原則認められない(訪朝者提供)
<北朝鮮からロシアへの国際列車ツアーができるようになった>
北朝鮮がロシアとの関係を強化している。これまで北朝鮮から鉄道で出国できるのは中国のみだったが、さらにロシアが加わった。
北朝鮮ーロシア間の鉄道の線路は元々連結されてはいたが、レールの幅(軌間)の違いがあり、朝ロ国境での台車交換が必要で時間がかかっていた。
中国に租借権が与えられている羅津港
2013年9月に、北朝鮮東北部の羅津港からロシアのハサンまでの約54キロメートルを、ロシアが負担して、朝ロ両国の規格に対応する4線軌条に改修した。これによりロシアの軌間(1520ミリメートル)の車両が、不凍港である羅津港まで直接乗り入れることができるようなっている。
日本統治時代の1930年代に開港した羅津港は、中国へ2005年から50年間の租借権が与えられていて、事実上の中国領土状態だ。しかし中朝関係が冷え込んでいるすきに乗じて、ロシアが参入してきた形だ。今も昔も不凍港を求めて南下する点は帝政ロシア、ソ連を経ても変わらない。
羅津港がある羅先特別市(訪朝者提供)
2013年、北朝鮮東北部の羅津港からロシアのハサンを結ぶ鉄道開通時のレポート KyodoNews連結工事終了後は、主にロシアから鉱物資源を羅津港へ輸送する車両が利用し、一部のロシアの旅行会社が鉄道入国ツアーを実施していた。
それが2018年になってロシア以外の旅行会社でも鉄道利用が解禁され、北朝鮮からロシアへの国際列車ツアーができるようになったのだ。
平壌からモスクワへの国際列車が運行開始
そして今年の春、平壌からモスクワへの国際列車が毎月4日と18日に運行され始めた。これで平壌から羅先、豆満江を経て、ハサン、ウスリースク、ハバロフスク、モスクワ、さらに乗り換えればヨーロッパへも鉄道で行けるようになったことになる。
当初、平壌から羅先までの国内列車も解禁すると発表していたので、乗車希望を出してみたのだが、安全上などの理由で許可が下りなかった。取材を進めていくと、20人ほどの大人数のグループ以外の少人数での乗車はすべて断っていることが分かった。