迷走を経て、韓国の国産ロケット、試験打ち上げに大きく近づく
韓国の新型ロケット「KSLV-II」の総合燃焼試験に成功 (C) KARI-Youtube
<韓国は新型ロケットの総合燃焼試験に成功し、独自の宇宙ロケットの打ち上げに大きく近づいた>
韓国航空宇宙研究院(KARI)は2018年7月5日、開発中の新型ロケット「KSLV-II」の総合燃焼試験に成功したと発表した。KSLV-IIは今年10月に試験打ち上げを予定しており、今回の燃焼試験はそれに向けた最後の関門だった。
この成功で、韓国は独自の宇宙ロケットの打ち上げに向け、大きく近づくことになった。
打ち上げに向けた準備中のKSLV-IIの試験機 (C) KARI
韓国のロケット
韓国の宇宙開発は1990年代から本格的に始まり、とくに小型の人工衛星の開発では大きな成果をあげ、現在では他国に輸出するほどの規模にまで成長している。
一方でロケットの開発は遅れ、当初予定していた国産開発計画は頓挫。1998年に北朝鮮が衛星打ち上げにも転用できる大陸間弾道ミサイル「テポドン」を発射したことへの焦りもあり、2004年にロシアからの技術導入によってロケットを開発する道を選んだ。
そして、ロシアが手がける第1段と、韓国が手がける第2段とフェアリングをもつ、「KSLV-I」ロケット、愛称「羅老号」の開発が始まった。
当初、韓国はロシアからロケット技術を習得するつもりだったとされるが、ロシアは単にロケットの完成品を売り込むことだけを考えており、実際ロケットの組み立てや整備に韓国側が立ち会うことはできなかったという。
羅老号は2009年と2010年に打ち上げるも失敗。2013年1月30日に打ち上げた3号機でようやく成功し、衛星の軌道投入に成功した。しかし2009年の時点で、ロシア側から技術が得られないことが明確になり、それ以上の発展が見込めなかったことから、韓国は次世代のロケットを独自で開発することを決定する。
そして同年から開発が始まったのが「KSLV-II」ロケットである。
ロシアと共同開発された「羅老号」 (C) KARI