中国で日本人21人が宗教活動で拘束──長期拘束される日本人は年々増えている
日本人が拘束された場所の1つ遼寧省丹東 (C)我妻伊都
中国で21人の日本人が一斉拘束されたことが24日に明らかになった。韓国人も合わせて30人ほどが公安当局に拘束されたという。
拘束場所は1か所ではなく、5月5日から15日にかけて、重慶、丹東、寧夏回族自治区、河北省、河南省、貴州省、山西省など。直轄市の重慶を除けばどちらかと言えば地方が多い。
中国当局は、拘束した30人の具体的な所属名は公表しておらず、日本政府関係者がキリスト教系団体だと明らかにしている。同じ団体と思われる宗教団体は、昨年10月にも広東省でも10人以上の日本人が拘束され強制送還されている。
拘束後すでに5人は帰国したという。外国人の取締が強化された近年にしてはかなり寛大な処置といえる。今回の拘束は、名目上は、持っていたビザや外国人登録が不適切だったことを理由に挙げられているが本当の理由は、宗教活動のようだ。
長期拘束されている日本人は年々増えている
しかし、2015年あたりから長期拘束されている日本人は増え、現在12人の日本人が拘束されている。そして、スパイ容疑ではない点も注目だ。
中国で外国人が公安に何かしらの理由で拘束された場合、罰金で即日釈放されることもあるが、強制送還と決まれば、原則15日間の勾留、その後、入管へ移送(同じ勾留所のままであることが多い)されて7日から10日後に強制送還される。最短でも3週間ほど勾留されることになる。
「以前なら罰金即釈放だったのが、習近平政権になってから10日間の勾留や強制送還になっているケースが増えています」(2002年から上海や大連などを定期的に出張する日本人経営者)
これは習近平政権になってから制定された反スパイ防止法(2014年11月公布)なども当然ながら関係しているが、「本来のルール解釈に戻っただけでは?」と話すのは90年代前半と2000年代に2度の北京への駐在経験がある日本人商社マンだ。
中国の法律では外国人がオーバーステイをすると1日500元(約8600円)の罰金。勾留された場合、最長15日間の勾留と法律で定められている。現在は、この原則に立ち戻って厳格に実行されているので、ルール解釈が緩くなっていた2000年以降の時期を経験していると厳しくなったと感じる、というのが前出の商社マンの話だ。
公安案件で勾留された場合は、最初に大使館、領事館関係者と面会するまでは肉親でも面会が許されず、面会できるのは週1回、地域差はあるが面会時間は20分から30分ほど。本や下着などの差し入れもできるが、担当公安がチェックして認められないことも多いという。
拘置所内に売店があり、日用品や外部との連絡に使う電話カードもその売店で買うため現金の受け渡しは許可される。厳しい担当者だと下着類もその売店で買えと突っぱねられるらしい。実際に面会したり、勾留経験者に話を聞くと2005年、2009年、2016年とだんだん厳しくなっている。