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武器輸出ドイツとフランスの哨戒機共同開発、日本が参画に売り込みへ
4月25日、ドイツとフランスが計画する哨戒機の共同開発に、日本の防衛省が参画を目指して両国国防当局と接触していることが分かった。写真は海上自衛隊の対潜哨戒機「P1」。英国のフェアフォード空軍基地で2015年7月撮影(2018年 ロイター/Peter Nicholls)
ドイツとフランスが計画する哨戒機の共同開発に、日本の防衛省が参画を目指して両国国防当局と接触していることが分かった。複数の政府関係者によると、海上自衛隊の対潜哨戒機「P1」を土台にした開発を提案している。日本は英国にP1を、オーストラリアに潜水艦を売り込むことに失敗しており、国産武器初の輸出を早期に実現したい考え。
防衛省は25日からドイツのベルリンで始まる航空ショーに2機のP1を派遣する。ドイツとフランスは会期中に哨戒機の共同開発に向けた署名を行う予定で、P1を売り込みたい日本は、実機を披露してアピールする。防衛省の政務官とドイツ政府高官との会談も調整している。
「ゼロからの開発はコストがかかる。スペインなど他の欧州諸国が買ったとしても調達数は限られるだろうから、P1の技術を生かすほうが効率的だ」と、日本の政府関係者は話す。
ドイツとフランスは現在、米ロッキード・マーチンの「P3C」と仏ダッソー・アビアシオンの「アトランティック」をそれぞれ運用している。ロシアの潜水艦をはじめ、安全保障上の脅威に直面する中、どちらの機体も老朽化が進んでいる。
関係者の1人によると、防衛省は日本がP1の機体を提供し、全体の取りまとめ役や搭載するシステム、電子機器の開発はダッソーやタレスといった現地企業が手がける構想を描いている。3カ国の企業もすでに情報交換をしているという。
しかし、この案件には欧米企業との激しい競争が予想される。仏エアバスは、旅客機「A320neo」を哨戒機など軍用機に転用することを計画。複数の関係者によると、ダッソーはビジネスジェット「ファルコン8X」を哨戒機として活用することを考えている。米ボーイングは哨戒機「P8」を提案してくるとみられる。
海自のP1は川崎重工業<7012.T>が開発した日本初の国産哨戒機。IHI<7013.T>製のエンジンを4発搭載し、高い高度を高速で飛ぶだけでなく、低い高度を低速で飛行できる。武器の輸出規制を緩和した日本は3年前、哨戒機の世代交代を計画していた英国に売り込んだが、旅客機を転用したボーイングのP8に敗れた。
海自はP1を20機まとめて発注し、1機当たり約160億円で調達している。さらに取得を続ける予定で、防衛省は輸出によって生産を増やし、自衛隊向けの価格を低減させたい考え。また、欧州諸国の哨戒機との相互運用性を高める狙いもある。「たとえばタレスが高性能のレーダーを開発すれば、海自の機体にも使えるようになる」と、関係者の1人は言う。
日本の防衛装備庁はロイターの取材に対し、ドイツ、フランスと「いかなる防衛装備・技術協力が可能かさまざまな可能性を検討している」とする一方、哨戒機の共同開発について「両国と協議を始めているといった事実はない」と回答した。ドイツ国防省はコメントを控えた。ロイターは駐日フランス大使館にも問い合わせたが、コメントを得られていない。
(久保信博、アンドレア・シャラル、ティム・ケリー 編集:田巻一彦)
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