バノン、ロシア疑惑で米特別検察官が召喚状 政権中枢に対して初めて
1月16日、ロシアによる2016年の米大統領選干渉疑惑を巡る捜査で、バノン前米大統領首席戦略官・上級顧問(写真)が大陪審での証言のため、モラー連邦特別検察官から召喚されたことが分かった。ワシントンで撮影(2018年 ロイター/Joshua Roberts)
トランプ米大統領の元側近のスティーブ・バノン氏は16日、ロシアによる2016年の米大統領選介入疑惑について下院情報特別委員会で証言した。
同委員会の民主党トップ、アダム・シフ議員によると、バノン氏はホワイトハウス勤務時代に関する質問への回答を拒否したほか、政権を去った後に大統領と交わした会話についても言及しなかった。
同委員会のデビン・ニューネス委員長(共和党)はバノン氏に回答を迫るため、その場で同氏の召喚を承認した。
シフ議員によると、その後、バノン氏は質問への回答をあらためて拒否。これに先立ち、バノン氏の弁護士はホワイトハウスと協議し、バノン氏は政権移行期間やホワイトハウス勤務時代に関する質問に答えないよう指示を受けたという。
バノン氏はトランプ政権で大統領首席戦略官と上級顧問を務めていた。
ホワイトハウスのサンダース報道官は、ホワイトハウスがバノン氏に特定の質問について答えないよう指示したかとの質問に対し「ホワイトハウスに関係するあらゆる議会活動がそうであるように、議会は機密情報を入手する前にホワイトハウスと協議する必要がある」と発言。「われわれは継続中の調査に完全に協力しており、議会委員会には正当な関心のために必要な情報が得られるよう政府と協力することを勧める」と語った。
これとは別に、米ニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は16日、関係筋の話として、米大統領選へのロシア介入疑惑の捜査で、バノン氏が大陪審での証言のため、モラー連邦特別検察官から召喚されていると伝えた。
モラー氏がトランプ政権の中枢メンバーだった人物を召喚したのが明らかになるのは今回が初めて。
特別検察官事務所の報道官はコメントを控えた。バノン氏の弁護士からのコメントは得られていない。
バノン氏は、大統領選挙キャンペーン中から政権移行期間およびトランプ氏の大統領就任後の最初の数週間にわたってトランプ氏の最側近の1人だった。
しかし、トランプ政権の暴露本「炎と怒り」の中で、トランプ氏の長男ジュニア氏が大統領選中にロシア人弁護士と接触したことを「反逆的」、「非愛国的」と批判するバノン氏の発言が引用され、両者の関係は悪化した。