最新記事

ビットコイン

「ビットコインはバブルじゃない、成長はこれからだ」

2017年12月25日(月)14時59分
アンソニー・カスバートソン

Dado Ruvic-REUTERS

<一時4割値を下げたビットコインについて、一部専門家がバブル崩壊ではないと言い切る根拠は?>

仮想通貨ビットコインの価格が暴落した。12月17日に過去最高値となる2万ドルに迫ったが、その後は下落傾向が続き、週間で4割以上も下落した。だが専門家は、これはバブル崩壊とする見方を一蹴する。

米情報サイト、コインデスクの「ビットコイン・プライス・インデックス(BPI)」によれば、ビットコインは12月22日に一時1万1000ドルを割り込み、12月以降で最安値をつけた(23日には一時1万5000ドルを回復した)。

ここ数カ月でビットコインの価格が急騰したことから、今回のような暴落はいつ起きてもおかしくないと市場関係者の大半は予測していたが、「フラッシュクラッシュ(瞬時の急落)」ではビットコインの信用は揺らがないと、一部の大物専門家は言う。

「今回のような急落は過去にもあった。今振り返れば、それがバブルでなく、一時的な乱高下だったことが分かる」と、ビットコインの専門家で、以前は米インターネット通信大手スカイプの最高執行責任者(COO)を務めていたマイケル・ジャクソンは本誌に語った。

現在はビットコインの財布「ウォレット」のプロバイダー、ブロックチェーンの取締役顧問を務めるジャクソンは、ビットコインは潜在力を出し切るどころか、「成長はまだ始まったばかりだ」と言う。

「(今回の急落は)意味ある価格調整だったし、売り抜けた投機家は儲けただろう。だが、ビットコイン初期からの投資家の大半は急落しても保有を続けている」とジャクソンは言う。「投機マネーが入ってきても、国際決済機能は働き続けているし、投機があってもビットコインの価値保存機能は損なわれていない」

他の仮想通貨とは違う

ビットコインの価格が急落した要因はいくつかある。韓国の仮想通貨取引所が12月19日、サイバー攻撃被害で破産申請したことや、ライバル仮想通貨「イーサリアム」やビットコインから分裂した「ビットコインキャッシュ」の流通量が増えたことなどだ。

これらのライバル仮想通貨は投資家にも好評だし、ビットコインには一定以上供給量を増やせないという技術的制約もあるが、それでも他の仮想通貨がビットコインに深刻な脅威を及ぼすことはない、とジャクソンは言う。

「他の仮想通貨は、最後に数えた時は1300種類以上あったが、それぞれ異なる目的で開発されたため、特定の機能でビットコインを上回る通貨はあるかもしれない。だがビットコインほどのコミュニティーや投資額、知名度を持つ仮想通貨は1つも存在しない」とジャクソンは言う。

「どの仮想通貨もビットコインに大きく後れを取っている。ライバルたちほど完璧ではなくても、ビットコインは仮想通貨市場とユーザーから絶大な支持を得ている。たとえビットコインの価格が1万ドル、あるいは1000ドルを切ったとしても大したことはない。一部の投機家は手を引くかもしれないが、ビットコインの核となる価値は変わらないのだから」

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲うウクライナの猛攻シーン 「ATACMSを使用」と情報筋
  • 4
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 5
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中