「平和の祭典」平昌五輪に兵士亡命と軍事演習が落とす影
韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相(左)出席のもとで聖火リレーも始まったが Kim Hong Ji-REUTERS
<北朝鮮はオリンピックは参加しない? 南北朝鮮に関係改善のチャンスはあるのか>
ピョンチャン(平昌)冬季オリンピック&パラリンピックの開催が来年2月初旬に迫り、韓国は準備の最終段階に入っている。北朝鮮との間には依然として懸案事項や障害があるが、一部の韓国国民はオリンピックを「両国の関係修復のチャンス」とみている。
平昌オリンピックは「平和のオリンピック」であるべきだと強調する韓国は、北朝鮮にも参加を促してきた。康京和(カン・ギョンファ)外相は11月25日、北朝鮮が五輪に参加すれば「南北の和解を促進する特別な機会」になるだろうと発言した。
国連総会は11月中旬、平昌五輪の開催期間中は加盟国に武力行使を控え、停戦を求める決議案を採択。北朝鮮もこの決議を承認したことは「政治的な状況に関係なく、オリンピックに貢献する意思と責任があること」を示していると、康は語った。
だが、11月29日に北朝鮮がおよそ2カ月半ぶりにICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射し、緊張が高まった。13日には北朝鮮の兵士が韓国に亡命する事件も発生し、両国の関係悪化を懸念する声が出ていた。
これに関連して、韓国が軍事境界線に設置している大音量スピーカーに北朝鮮が抗議してくるのではないかと心配する向きもある。スピーカーによる北朝鮮向けの宣伝放送が、今回の北朝鮮兵の亡命につながった可能性もあるからだ。
亡命事件の際、北朝鮮側は軍事境界線を越えてライフル銃を発砲し、さらには亡命兵を追っていた北朝鮮兵が軍事境界線を越えた。これが朝鮮戦争の休戦協定に違反するとして、韓国政府は北朝鮮に強く抗議すべきだという声も国民の間では強まっている。
それでも専門家の多くは、亡命事件が南北間の現在の雰囲気に大きな影響を及ぼすことはないと主張する。この問題はとにかく「見過ごす」ことが、両国にとって得策だからだ。