算数が得意な富裕層の子どもと、家庭科が得意な低所得世帯の子ども
家庭環境と学力格差はリンクしている imtmphoto-iStock.
<小学生児童を対象に世帯所得と得意科目の関係を調査すると、高所得世帯の子どもは算数などの座学教科を得意科目にあげる一方、低所得世帯の子どもは実技を得意科目にあげている>
2013年度に文部科学省が実施した『全国学力・学習状況調査』では、年収が高い家庭の子どもほど教科の平均正答率が高い傾向が明らかになった。このデータによって「貧困と低学力」「貧困の世代連鎖」といった問題がはっきりと認識され、低所得家庭に対する通塾費の補助や無料学習塾などの取り組みが各地で実施されている。
家庭環境と「学力格差」がリンクしていることは分かったが、勉強に対する意識にも同じような格差が見られる。2014年度の国立青少年教育振興機構の調査によると、「勉強は得意な方だ」という項目に「とてもそう思う」と答えた小学生(4~6年生)の割合は、年収200万円未満では10.0%だが、年収1000万円以上の富裕層では29.5%だ。「少し思う」までを加えると、前者は36.2%、後者は67.7%と差はもっと大きくなる。
これは両極端だが、6つの年収階層と勉強の得意意識の関連をグラフにすると<図1>のようになる。無回答は除いた有効回答の分布だ。
年収が高い群ほど、「勉強は得意」と思う児童の割合が高い。否定的な回答の割合は、貧困層で高い。グラフに乱れがない、きれいな傾向だ。家庭の経済資本や文化資本の差が反映されている。
なお一口に勉強と言っても、内容は多岐にわたる。学校には複数の教科があるが、得意度が家庭環境要因と関連する度合いは、教科によって異なる。