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日本経済消費低迷の原因「可処分所得20年間伸びゼロ」 アベノミクスに疑問符
12月1日、吉川洋・立正大教授(東大名誉教授)日興リサーチセンターの山口広秀理事長(前日銀副総裁)は連名で消費の低迷要因についての分析リポートを公表した。写真は都内で2016年2月撮影(2017年 ロイター/Thomas Peter)
吉川洋・立正大教授(東大名誉教授)日興リサーチセンターの山口広秀理事長(前日銀副総裁)は1日連名で消費の低迷要因についての分析リポートを公表した。賃金の上昇不足と将来不安が2大要因と総括し、政府に対して持続可能な社会保障制度の将来像を明示することを要望した。
リポートでは、実質国内総生産(GDP)の成長率に占める個人消費の寄与度は足元30%を下回っており、高度経済成長期の50━70%と比べ大きく低下していると指摘。低迷の要因として「可処分所得が過去20年間の伸びがゼロ」となっていること、「労働生産性が上昇したにもかかわらず賃金が伸びていない」点を示した。また「34歳以下の若年世帯で消費を抑える姿勢が強まっている」として、多くの人々が老後の生活や医療・負担に大きな不安を抱えている点を取り上げた。
このため「政府が責任ある形で、説得力のある税・社会保障のプランを明示すべき」と提言している。
会見した山口理事長は「政府は財政赤字でも経済成長さえあればなんとかなるという話ばかりだ」と解説。吉川教授は「名目賃金が大きく上昇しない中で日銀の異次元緩和で物価が上昇すれば、ややもすると実質賃金が下落する」点に懸念を示し、それぞれアベノミクスに疑問を呈した格好だ。
安倍政権が掲げる来春3%の賃上げについては、吉川教授は「一定の意味がある」と理解を示しつつ、「経営者側は人口減で固定費を増やしたくない、連合など(被雇用者側)もリーマンショックを受けて雇用を優先、強い形で賃上げを要求すれば経営基盤を損ねてしまうと自重しがちだ」と指摘し、労使交渉への政府介入に限界があるとの認識を示した。
(竹本能文)
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