最新記事
アメリカ政治

トランプに「クビだ!」と言われた元政権幹部たちの優雅な生活

2017年11月9日(木)18時30分
ジュリア・グラム

あの人たちは今? 立っている3人(左からプリーバス、バノン、スパイサー)と右端に座っているフリンは政権を追われた Jonathan Ernst-REUTERS 

<政権を追われて辛い日々と思ったら大間違い。みんな前より贅沢三昧なのはどうして?>

ドナルド・トランプ米大統領に「お前はクビだ!」と言い渡された元政権幹部たちは今、どうしているのだろう。無能の烙印を押されてさぞ辛い日々だろうと思ったら大間違い、実に優雅な生活を謳歌している。その代表格がスティーブ・バノン元首席戦略官、ショーン・スパイサー元大統領報道官、ラインス・プリーバス大統領首席補佐官。トランプ政権の内情を知りたがるメディアや企業からカネはいくらでも入るし、政権内の権力闘争から解放され、昼間からビールを飲むお気楽な日々だ。

政治ニュースサイト・ポリティコによると、バノンは旅行にはいつもプライベートジェットを使用している。これは政権内にいた時には許されなかった贅沢だ(トム・プライス元厚生長官はプライベートジェットをチャータして辞任に追い込まれた)。

「ホワイトハウスを出てからは、毎日ホリデー気分だ」と、ご満悦のバノン。彼は今年8月に解任された後、古巣の右派ニュースサイト「ブライトバート」に戻り、24時間態勢の秘書チームを抱える身だ。

一方、7月に辞任したスパイサーは「タレント活動」に忙しい。エミー賞授賞式にサブライズ出演して聴衆を沸かせ、トーク番組『ジミー・キンメル・ライブ』では、「たとえ間違っていると思っても、大統領の考えをそのまま伝えるのが報道官の務めだ」と、苦労を打ち明けた。

トランプは商売になる

トランプの代弁役を下りたおかげで世間の風当たりも優しくなったと、スパイサーはポリティコに語る。世界中の企業や公的機関のコンサルタントを務めるほか、トランプ政権の「異常な政治」をテーマにした講演活動も精力的にこなしている。

同じく7月に更迭されたプリーバスは、コンサルタントの仕事をしながらゴルフ三昧の日々。トランプ対策の「戦略的アドバイスの提供」で、1件に付き5万ドルの顧問料を稼いでいるという。辞任する時には「私はこれからもずっとトランプのファンだ。チーム・トランプの一員だよ」とCNNに語っていたのだが。

羽振りのいい元スタッフはほかにもいる。わずか2週間足らずでホワイトハウスの広報部長の座を追われたアンソニー・スカラムッチを覚えているだろうか。彼は自身の名を冠したメディア・ベンチャーを立ち上げた。大統領補佐官だったセバスチャン・ゴーカはFOXニュースのコメンテーターとして活躍中だ。

一方、ロシア疑惑に関する捜査の進展で、トランプの元側近の一部はまずい立場に追い込まれている。トランプ陣営の選対本部長だったポール・マナフォートとそのビジネスパートナーのリック・ゲーツが起訴されたほか、国家安全保障担当の大統領補佐官だったマイケル・フリンも起訴される可能性がある。昨年の大統領選挙でトランプ陣営の外交政策顧問だったジョージ・パパドプロスは偽証を認め、FBIとの司法取引に応じている。

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガリニューアル!
ご登録(無料)はこちらから=>>

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

世界エイズ・結核・マラリア基金が民間調達強化、米W

ワールド

米国務長官、比外相と電話会談 南シナ海での中国行動

ビジネス

米中関係、一段の悪化懸念する在中国米企業の割合が5

ビジネス

米CNNとNBCニュース、一時解雇を計画=CNBC
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 3
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ人の過半数はUSスチール問題を「全く知らない」
  • 4
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 5
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 6
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピ…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 10
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中