最新記事

朝鮮半島危機

米空母3隻と自衛隊が共同訓練、米軍の士気高い

2017年11月14日(火)16時30分
ジョン・ホルティワンガー

米原子力空母、手前からセオドア・ルーズベルト、ロナルド・レーガン、ニミッツ(11月12日) Courtesy James Griffin/U.S. Navy/REUTERS

<トランプのアジア歴訪に合わせて日本海に集結した世界最強の空母3隻は壮観で頼もしいが>

米軍は11月13日、日本海で米原子力空母3隻による異例の軍事演習を実施し、北朝鮮に世界最強の軍事力を見せつけた。

演習は11日から4日間の日程で始まり、ロナルド・レーガン、ニミッツ、セオドア・ルーズベルトの3隻の米原子力空母が日本海上に集結した。米海軍横須賀基地を拠点にするロナルド・レーガンは、米軍がアジアに展開する空母のなかで最大級だ。空母3隻が西太平洋上で合同演習を行うのは10年ぶり。日本の自衛隊の護衛艦も演習に参加した。

米海軍によれば、訓練は艦隊を敵の攻撃から守るための空中戦や、監視・補給活動などで、空母3隻が引き連れる艦隊間の連携を確認したという。

「空母2隻の合同演習すら稀なのに、3隻となると、なおさら稀だ」と、米太平洋艦隊のスコット・スウィフト司令官は声明を発表した。「3つの空母打撃軍が共に作戦行動を取るには、非常に高度な技術が求められる。西太平洋で行う今回の演習は、同地域の安全と安定の維持に寄与する米太平洋艦隊の比類ない能力と断固たる意志を示すものだ」


ニミッツの甲板上は特に活気にあふれ、空母艦載の戦闘攻撃機FA18EとFA18Fスーパーホーネットの発着艦の訓練を繰り返し行ったと、米軍準機関紙、スターズ・アンド・ストライプスは報じた。

「空母3隻を同時に訓練できるのは、またとない機会だ」と、ニミッツが所属する空母打撃軍のグレゴリー・ハリス司令官はスターズ・アンド・ストライプス紙に語った。「アメリカの同盟国やパートナーに対し、はっきりと申し上げたい。我々は過去70年、この地域に留まってきたし、今後70年も留まり続ける」

艦隊を招集したのは、11月5日~15日までアジアを歴訪する予定になっていたドナルド・トランプ米大統領。自分の訪問に合わせ、目下アジア最大の脅威である北朝鮮に力を誇示した格好だ。

金正恩と友達になる?

トランプは11月8日に韓国国会で行った演説で、交渉の席に着くよう金に呼び掛けた。「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発は、金正恩体制を守ってくれない、むしろ深刻な危険にさらすものだ。闇の奥へ進めば進むほど、危険は増大する」

これに対し北朝鮮外務省は11日、核戦争を切望し外交的解決に何の興味も示さなかったとして、トランプを非難した。「トランプはアジア歴訪中、世界の平和と安定の破壊者としての本性をさらけ出し、朝鮮半島で核戦争が起きるのを切望した」。

すると12日にトランプは一転、懐柔的ともとれるツイートを投稿した。「金正恩はなぜ私を『年寄り』と侮辱するのか。私は彼を『チビでデブ』などと決して呼ばないのに」「まあいいさ、頑張って彼の友だちになる努力をしよう。いつか実現するかもしれない」

最強の空母をもってしてもそれだけでは北朝鮮には勝てないことに気付いたのか、中国の習近平との首脳会談で何かいい取引でもしたのか、真意は不明だ。トランプは帰国後の11月22日、ホワイトハウスで北朝鮮と貿易に関する重大発表を行うと言っている。

【参考記事】【北朝鮮情勢】米軍の地上侵攻はどんな戦争になるか

(翻訳:河原里香)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:ドバイ「黄金の街」、金価格高騰で宝飾品需

ワールド

アングル:ミャンマー特殊詐欺拠点、衛星通信利用で「

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 5
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 8
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 8
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 9
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 10
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中