最新記事

朝鮮半島

北朝鮮の送電網を破壊する、韓国「ブラックアウト爆弾」の効果

2017年10月10日(火)16時30分
ソフィア・ロット・ペルシオ

米韓合同演習に参加したジェット戦闘機 Kim Hong-Ji-REUTERS

<北朝鮮の核攻撃に対抗するため、送電施設に炭素繊維をばら撒いてショートさせ、停電を引き起こす新型兵器を韓国軍が開発中>

核攻撃能力を強化する北朝鮮に対抗するため、韓国軍も新たな兵器の実装配備を進めている。

8日の聯合ニュースの報道によると、韓国の国防科学研究所(ADD)は、有事の際に北朝鮮の電力供給網を停止させ、人的被害を出さずに北朝鮮の戦争遂行能力を奪う「ブラックアウト(停電)爆弾」を開発した。

取材に応じた韓国軍関係者は、「いつでもブラックアウト爆弾を製造できる段階に入った」と語っている。

この爆弾は、戦闘機から発電所をめがけて投下され、クラスター爆弾と同様、空中で爆発して小型の弾筒に分裂する。そこから炭素繊維が放出されて送電施設をショートさせる。

第一次湾岸戦争中の1991年に米海軍が初めてこの爆弾をイラクに対して使用した。1999年のコソボ紛争でも、北大西洋条約機構(NATO)がセルビア軍に対して使用している。

NATOのジェイミー・シェイ報道官(当時)は、このブラックアウト爆弾が敵に与えるのは主に心理的なダメージで、停電を引き起こすことで文字通り「無力化」されたと敵に感じさせることができる、と話していた。「我々は必要に応じ、その気になればいつでも停電を起こせる」と、シェイは当時、英BBCニュースの取材に語っている。

韓国は、北朝鮮によるミサイル発射の兆候を事前に察知して、北の核・ミサイル施設に先制攻撃を仕掛ける新たな防衛システム「キルチェーン」を構築中で、この中で使用する兵器の一つにブラックアウト爆弾を追加しようとしている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪CPI、10月は前年比+2.1%で横ばい コアは

ワールド

NZ中銀、政策金利0.5%引き下げ 追加緩和を示唆

ビジネス

バイデン米大統領、肥満症薬に公的保険の適用を提案 

ワールド

ブラジル前大統領、クーデター計画関与の証拠も 警察
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳からでも間に合う【最新研究】
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 4
    放置竹林から建材へ──竹が拓く新しい建築の可能性...…
  • 5
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 6
    こんなアナーキーな都市は中国にしかないと断言でき…
  • 7
    早送りしても手がピクリとも動かない!? ── 新型ミサ…
  • 8
    トランプ関税より怖い中国の過剰生産問題
  • 9
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 10
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 5
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 6
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 7
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 8
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中