トランプの心が読めない北朝鮮、威嚇の傍ら米政府のコネ探る
初の国連演説で金正恩を「ロケットマン」と呼ぶなど暴言を吐きまくったトランプ Brendan McDermid-REUTERS
<北朝鮮高官はトランプのツイートを暗記するほど分析し、米政府関係者にもルートを開こうと接触を始めた>
北朝鮮は、ドナルド・トランプ大統領のツイッターに目を光らせている。トランプの重要なツイートは政府高官も暗記しているほどだ。
北朝鮮は、ソーシャルメディアや国連でのトランプの行動や過激な発言の意図を測りかね、共和党系のシンクタンクや元アメリカ政府関係者に接触し始めていると、9月26日付のワシントン・ポスト紙は報じた。
同紙の報道には、北朝鮮のツイッターの扱い方をめぐる重要な情報が含まれている。北朝鮮の政府関係者は、ジュネーブ安全保障政策センター(GCSP)が9月にスイスで設けた会合の席で、トランプのツイートに関して「百科事典並みの精通ぶり」を披露し、アメリカ側の出席者にツイートを諳んじてみせたという。
トランプが大統領選に勝利した2016年11月以降、北朝鮮はトランプの外交戦略を理解すべく積極的に動いてきたが、いまだ当惑が拭い去れないのだろうと、同紙は報じている。
初めて見るアメリカ
「北朝鮮は、アメリカがどこへ向かっているのか、まだ困惑しており、米政府の意向を探るためのルートを開こうと試みている」と、元国務省幹部のエバンス・リビアはワシントン・ポスト紙に述べた。「北朝鮮は、このように振る舞うアメリカを見たことがない」
トランプは、フォロワーが3930万人いるツイッターなどのソーシャルメディアを使い、北朝鮮の最高指導者である金正恩(キム・ジョンウン)を激しく攻撃し、脅しや侮辱を繰り返している。
最近では、金を「ロケットマン」や「マッドマン(狂人)」と呼び、9月22日には、金が「かつてない試練にさらされる」ことになるだろうと述べた。
最新のツイートは、ニューヨークの国連総会で行った自身の初めての演説の一部を繰り返したものだ。
「アメリカは大いなる強さと忍耐を持ちあわせているが、自国や同盟国を守らざるをえない場合は、北朝鮮を完全に破壊する以外に、選択肢はなくなるだろう」とトランプは述べた。「ロケットマンは自殺行為に走っている」
2日後、トランプ政権は、北朝鮮に対する新たな制裁措置を発表した。この新たな制裁の狙いは、アメリカ国外の金融機関が北朝鮮と取引できないようにすることにあった。