最新記事

ペット

ペットショップは「新品」の犬を売ってはいけない

2017年9月21日(木)18時50分
クリスティン・ヒューゴ

ペットを飼うなら、シェルターにいる犬や猫が第一選択肢であるべき? Kevin Lamarque-REUTERS

<動物福祉「先進国」、米カリフォルニア州の新しい法律が、シェルターで殺処分を待つばかりの犬や猫の命を救う>

動物好きには嬉しいニュースだ。米カリフォルニア州で、ペットショップは保護された動物(具体的には犬、猫、ウサギ)しか店に置けない、という法律が間もなく成立する。すでに州上院を全会一致で通過し、知事の署名を待つばかりだ。

成立すれば、ペットショップは保護した犬、猫、ウサギしか販売できなくなる。いわゆるパピーミル(悪徳繁殖業者)から仕入れた場合はもちろん、ブリーダーから仕入れた場合も販売できない。ペットを買いたい人は、保護されたペットをもらうか、ブリーダーから直接買うことになる。

法律の狙いは、ペットショップが保護動物を引き取るよう後押しすることで、保護されたペットが生き延びるチャンスを広げることだ。ペットのシェルター(一時保護施設)ではしばしば、スペースが一杯で殺処分になることが多いが、そういうケースも減らすことができる。殺処分をなくすための動物愛護団体「ノーキル・センター」によれば、現状ではシェルターに保護された動物の3分の1は生きて出てこられない。

ブリーダーから買っていい条件

ペットショップの一部、ペットコやペットフード・エクスプレスなどはすでに、商業目的で繁殖されたペットの販売をやめ、代わりに保護された動物を受け入れ、里親探しの催し物を開いている。全米最大の動物愛護団体「米国人道協会(HSUS)」によれば、カリフォルニアの販売業者391店はすでにパピーミルの動物は売らないと誓約済み。ブリーダーから仕入れた子犬や子猫を販売していたペッツマートも、同社ホームページによれば、保護動物だけを扱うビジネスに転換し、これまでに760万匹以上の動物を引き取ったという。

HSUSは原則、ペットを飼いたい人はまず家を探している保護動物を引き取ることを考えるべきだと考えている。多くの動物愛護団体は、ブリーダーから買うことにも反対だ。HSUSはブリーダーは例外的に認める場合もあるが、それも、ブリーダーが外部からの訪問を受け入れていて、子犬や子猫の両親にも会える場合に限る。無責任で残酷なブリーダーでないことを最低限、確認するためだ。これに対してペットショップが商業ルートで仕入れる動物は、どこからきてどんな環境で生れ育ったものかチェックできないので買うべきでないという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ECB4月利下げ観測高まる、米関税懸念とインフレ鈍

ワールド

香港のデリバティブ取引急増、空前の水準に 株価乱高

ワールド

ミャンマーでM7.7の地震、マンダレーで建物倒壊 

ワールド

仏CPI、3月速報前年比+0.9%で横ばい 予想下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影された「謎の影」にSNS騒然...気になる正体は?
  • 2
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 3
    地中海は昔、海ではなかった...広大な塩原を「海」にした、たった一度の「大洪水」とは?
  • 4
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    「マンモスの毛」を持つマウスを見よ!絶滅種復活は…
  • 8
    「完全に破壊した」ウクライナ軍参謀本部、戦闘機で…
  • 9
    【クイズ】アメリカで「ネズミが大量発生している」…
  • 10
    老化を遅らせる食事法...細胞を大掃除する「断続的フ…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 3
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 4
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 5
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 8
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 9
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 10
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中