トランプ、北朝鮮の「完全破壊」を警告 初の国連演説で
9月19日、トランプ米大統領は国連で就任後初の一般討論演説を行った。写真は国連本部で同日撮影(2017年 ロイター/Eduardo Munoz)
トランプ米大統領は19日、ニューヨークの国連本部で行った就任後初の一般討論演説で、米国は北朝鮮を「完全に破壊」せざるを得なくなる可能性があると述べた。
トランプ氏は41分間にわたる演説でイランの核問題、ベネズエラの民主主義を巡る問題、イスラム強硬派などについても言及。キューバ政府も批判した。
ただ最も鋭い矛先を向けたのは北朝鮮で、「米国は強大な力と忍耐力を持ち合わせているが、米国自身、もしくは米国の同盟国を守る必要に迫られた場合、北朝鮮を完全に破壊する以外の選択肢はなくなる」と言明。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長を「ロケットマン」と呼び、「『ロケットマン』は自身、および自身の体制に対する自爆任務に就いている」と述べた。
そのうえで、北朝鮮の核・ミサイル開発プログラムは「全世界に対する脅威となっており、想像を絶する規模の人命が犠牲になる可能性がある」と指摘。「世界を核の脅威にさらすこうした国と、一部の国が貿易を行うだけでなく、武器を提供し、財政支援を行っていることに憤りを感じる」と述べた。暗に中国を非難したとみられる。
また、国連加盟国は北朝鮮が「敵対的な」態度を改めるまで 金正恩体制の孤立化に向け共に取り組む必要があるとの考えを示した。
トランプ氏の発言に対し、北朝鮮の国連代表団は現在のところコメントを発表していない。
ドイツのメルケル首相は北朝鮮問題について、外交的に解決するためにあらゆる努力を行うとし、「外交手段以外のいかなる手段も大惨事につながる」と述べた。
トランプ氏の発言に対する米国内の反応はまちまち。2012年の大統領選挙の共和党候補だったミット・ロムニー氏は、トランプ氏は世界的な課題に国連が対処するにあたり「必要で、かつ力強い課題」を突きつけたとツイート。一方、上院外交委員会のエド・マーキー議員(民主党)はCNNに対し、北朝鮮に協議に応じるよう働き掛ける手段はまだ残っているとし、「核による対決の回避に米国は努力したと言えるようにする必要があると」と述べた。