中国「一帯一路」効果現れる 企業の海外金融会社買収が活発化
9月12日、中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関連し、中国企業が事業会社だけでなく銀行や保険、資産運用会社の買収にも目を向け始めた。写真は5月に北京で開かれた一帯一路フォーラム会場で撮影 (2017年 ロイター)
中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関連し、中国企業が事業会社だけでなく銀行や保険、資産運用会社の買収にも目を向け始めた。資金を呼び込むとともに、金融の専門性を確保するのが狙いだ。
関係筋が先週明らかにしたところでは、中国で最も海外買収に積極的な海航集団(HNAグループ)と安邦保険集団はそれぞれ、独保険大手アリアンツへの買収提案を検討していた。
いずれも実現には至らなかったが、アリアンツといえば業界大手で、中国側の野心の大きさを印象付ける出来事だ。
業界関係者らによると、中国人寿保険<2628.HK>や中国光大控股(チャイナ・エバーブライト)などの大手を筆頭に、今後も海外買収の動きは続きそうだ。
中国規制当局や企業と仕事をしているグローバル銀行の買収アドバイザーは「規制当局のメッセージは明確だ。これらの企業に海外進出し、巨額の資金と技術を手に入れてほしがっている。中国は金融の体力を高める必要があるため、一帯一路構想に何らかの関係がある買収には好意的だ」と語った。
このグローバル行は現在、「中規模ないし大規模な」海外金融機関の買収案件を複数抱えているという。
中国では過去2年、借金による海外買収が活発化したため、当局は過熱を抑える措置に乗り出している。しかし一帯一路絡みの案件は例外だ。
トムソン・ロイターのデータによると、中国企業による海外の金融機関の合併・買収(M&A)は、年初から先週までで90億ドル近くと、昨年1年間の120億ドルに手が届く規模となった。昨年を超えれば少なくとも2008年以来で最大となる。
パソコン(PC)大手レノボ・グループ(聯想集団)の親会社、中国の聯想控股(レジェンド・ホールディングス)<3396.HK>は今月、ルクセンブルクの銀行大手バンク・インターナショナル・ア・ルクセンブルク(BIL)の株式90%を14億8000万ユーロ(17億6000万ドル)で買収すると発表した。聯想控股によると、これは一帯一路に絡んだ買収だ。
中国は海外買収を通じて金融の専門性を高めることで、事業契約の保証や資金調達、保険を確保しやすくなるという利点がある。