最新記事

TPP

NZ総選挙、政権交代ならTPP「11月合意」に暗雲

2017年9月21日(木)09時00分

9月20日、23日のニュージーランド総選挙で政権交代が起きれば、環太平洋連携協定(TPP)参加国が目指す11月の合意に向けて障害となる恐れがある。写真は労働党のジャシンダ・アーダーン党首、ウエリントンで8月撮影(2017年 ロイター/Ross Setford)

23日のニュージーランド総選挙で政権交代が起きれば、環太平洋連携協定(TPP)参加国が目指す11月の合意に向けて障害となる恐れがある。

米国の離脱を受けて11カ国となったTPP参加国は、ニュージーランドと日本が議論を主導している。

ニュージーランド野党の労働党は外国人による国内中古住宅購入の禁止を公約に掲げており、この公約に沿うようTPPの再交渉を行うと表明している。

世論調査では与党・国民党と野党・労働党の接戦。一部のアナリストは、労働党が勝利した場合、その他のTPP参加国も新たな要求を持ち出し、合意が先延ばしとなる可能性があると指摘。ニュージーランドの離脱もあり得るという。

ニュージーランドのマックレイ貿易相はロイターに対し、TPP参加11カ国が既に協定内容の再交渉に「ノー」と言っており、労働党の公約は危険だと述べた。

労働党のジャシンダ・アーダーン党首はこれまで、同党が政権を率いる場合でもTPPへの参加継続を望むが、国内中古住宅の購入を外国人に禁止できることが条件になるとの立場を示している。

アナリストらは、労働党がTPPから離脱すると表明しているわけではないという事実は意味ありげだと指摘。労働党の報道官は、いざとなれば公約をあきらめる可能性もあることを意味するのかとの問いに対し、「そうした解釈をするのは間違い」だと述べた。

独立系のニュージーランド経済調査研究所の副最高経営責任者、ジョン・バリンゴール氏は、TPPはニュージーランド経済にとって大きな恩恵があるため、外国人が中古住宅を購入することへの懸念からTPP離脱を労働党が決める可能性は極めて低いと指摘。同党が政権を担うとしても「いざとなればTPPを支持するだろうというのが私の見立てだ」と語った。

(Ana Nicolaci da Costa記者、Charlotte Greenfield記者)

[ウェリントン 20日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

第一生命がアイリックコーポの株式取得、議決権比率6

ビジネス

日産が取締役会、ホンダとの統合交渉打ち切る方向で議

ビジネス

米郵政公社、中国・香港からの小包一時停止 関税措置

ビジネス

トヨタ、中国上海にレクサスのEV工場 単独で出資
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:中国経済ピークアウト
特集:中国経済ピークアウト
2025年2月11日号(2/ 4発売)

AIやEVは輝き、バブル崩壊と需要減が影を落とす。中国「14億経済」の現在地と未来図を読む

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 2
    「体が1日中だるい...」原因は食事にあり? エネルギー不足を補う「ある食品」で賢い選択を
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    マイクロプラスチックが「脳の血流」を長期間にわた…
  • 5
    中国AI企業ディープシーク、米オープンAIのデータ『…
  • 6
    脳のパフォーマンスが「最高状態」になる室温とは?…
  • 7
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 8
    DeepSeekが「本当に大事件」である3つの理由...中国…
  • 9
    AIやEVが輝く一方で、バブルや不況の影が広がる.....…
  • 10
    教職不人気で加速する「教員の学力低下」の深刻度
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」を予防するだけじゃない!?「リンゴ酢」のすごい健康効果
  • 4
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
  • 5
    今も続いている中国「一帯一路2.0」に、途上国が失望…
  • 6
    「靴下を履いて寝る」が実は正しい? 健康で快適な睡…
  • 7
    DeepSeekショックでNVIDIA転落...GPU市場の行方は? …
  • 8
    老化を防ぐ「食事パターン」とは?...長寿の腸内細菌…
  • 9
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 10
    「やっぱりかわいい」10年ぶり復帰のキャメロン・デ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀…
  • 6
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 9
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 10
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中