新型アップルウオッチは、ポストiPhoneの大本命
アップルウオッチシリーズ3を発表するジェフ・ウィリアムズCOO(最高執行責任者) Stephen Lam-REUTERS
<新発売が発表されたアップルウオッチの「シリーズ3」は、いよいよ通信デバイスとして単体で使える存在に>
9月12日のアップル新製品発表会、世間の注目はもっぱらiPhoneシリーズの最新作X(テン)に集まっていたが、実を言うと最高にワクワクしそうな製品は別にあった。アップルウオッチの「シリーズ3」だ。
アップルに限らず、IT系の新製品が真価を発揮し、ユーザーが買ってよかったと納得するのは、たいてい何度もバージョンアップを重ねてからだ。
アップルウオッチも(そして他社のスマートウオッチも)例外ではない。とりわけ初代は、実用的デバイスというよりプロトタイプに近かった。メールや通話の機能はあっても、iPhoneがなければ携帯電話網に接続できなかった。
しかも操作方法が煩雑過ぎた。あの小さい画面をタップしたりスワイプしたり、「デジタルクラウン」を回したり、さらにボイス・コントロールの機能も付いていた。確かに素敵な機能だが、多機能過ぎて複雑になり、便利であるべきデバイスが便利ではなくなっていた。結果、初代のアップルウオッチで(素人でもどうにか)使えたのは健康管理の機能くらいだった。
そのため昨年発売された「シリーズ2」では健康管理機能を強化し、独立した腕時計型コンピューターというコンセプトは深追いせず、iPhoneのアクセサリーという位置付けで満足した。そして営業的には一定の成果を上げたらしい(CEOのティム・クックは誇らしげに、今やアップルウオッチは「世界でナンバーワンの時計」だと豪語したが売上台数は公表していない)。
しかしアップルは「シリーズ3」で、初代の果たせなかった夢を実現しようとしたらしい。軽くて小さくて、しかも単体で使える通信デバイスという夢だ。さらに音声アシスタントのSiri(シリ)やワイヤレスヘッドホンのAirPods(エアポッズ)の進化によって、使い勝手も格段によくなった。
今度のアップルウオッチなら「iPhoneの後継機」になれるかもしれない。つまり、iPhoneがなくてもクラウド上に保存したデータを自在に操れる手首装着型デバイスだ。