「ネットうつ」に責任感じた?グーグルが「自己診断ツール」提供
どこが悪いかをネットで調べるのもうつ病の原因になる lolostock/iStock.
<受診が遅れたせいで最悪の結果を招くこともあるうつ病について、米グーグルが9つの質問に答えるたけで誰でも自己診断できるツールを用意する。ネットを使った「素人診断」でうつ病になる現代病「サイバーコンドリア」も防げそうだ>
米グーグルのユーザーは、今後はいつでも簡単にうつ病の自己診断ができる。「うつ病(depression)」や「臨床的うつ病(clinical depression)」というキーワードを入力して検索すれば、1ページ目の最上部にPHQ-9テストという自己診断ツールが表示される。ユーザーは9つの質問に答えるだけでメンタルヘルスを自己測定し、典型的なうつ症状の有無を確認できるのだ。
「グーグル上で自己診断ツールを利用できるようにすることで、より多くの人がうつ病に対する意識を高め、生活の質を改善するための治療に積極的に取り組んでほしい」と、精神疾患の患者と家族を支援する米非営利団体ナショナル・アライアンス・オン・メンタル・イルネス(NAMI)のメアリー・ギリベルチ最高経営責任者はグーグルのホームページで声明を発表した。NAMIはグーグルの取り組みに協力している。
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PHQ-9は、一般的に初期のうつ病チェックに利用され、うつ症状の有無を比較的正確に診断できる。グーグルが最終的に期待する効果は、この自己診断ツールを通じてより多くの人が医療機関を受診するよう後押しすること。NAMIは声明で、「PHQ-9の結果を知れば、患者は医師とより踏み込んだ会話ができるようになる」と述べた。
受診を遅らせて自殺も
米国立精神衛生研究所(NIMH)によれば、2015年に少なくとも1つ以上のうつ症状を患ったとされるアメリカ人は、全体の約6.7%。うつ病になると、不安が増す、無感情になる、日常的な活動に関心を持てなくなる、集中力の維持が難しくなる、気分の浮き沈みが起きる、といった症状が出る。食欲の減退や増進、全身の痛み、体重の減少や増加など、身体的症状が出る場合もある。臨床的うつ病の患者の多くは、不眠や異常な眠気といった睡眠障害も併発する。
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残念ながら、自分はうつ病ではないかと疑う人の半数しか、医療機関を受診しない。うつ症状のある人は、実際に受診するまで6~8年も疾患を放置することも統計で分かっている。そのせいで患者は健康面で大きな犠牲を払い、家庭とのいさかいや失業、自傷、自殺など、深刻な結果を引き起こす恐れもある。NIMHによれば、アメリカの25~34歳の若年層の死因は、1位の事故及び怪我に続き、自殺が2位だ。