北朝鮮、米国攻撃するICBM実戦化には新たな核実験必要か
8月17日、北朝鮮は米国本土の全域を射程圏に入れた大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発したと宣言している。事実だしても、金正恩朝鮮労働党委員長にとっては最終目標を達成する上で困難な課題が待ち受ける。写真は、「誰もわれわれを止められない」と書いてある北朝鮮のポスター。KCNA提供(2017年 ロイター)
北朝鮮は米国本土の全域を射程圏に入れた大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発したと宣言している。事実だしても、金正恩朝鮮労働党委員長にとっては最終目標を達成する上で困難な課題が待ち受ける。
つまり射程距離を犠牲にしないで済むような弾頭の小型軽量化と、大気圏再突入を成功させる技術の獲得だ。複数の専門家は、こうした問題をクリアするために少なくともあと1回、通算で6回目の核実験と、長距離ミサイルのさらなる発射実験が必要だとみている。
弾頭軽量化に最適な方法の1つは、核融合反応をする水爆の開発に専念することになる。水爆はサイズや重量に比して爆発力が極めて大きい。
米国科学者連盟の原子力情報プログラムのディレクター、ハンス・クリステンセン氏は、北朝鮮は水爆実験を行ったと主張するがそれはまだ証明されていないと指摘。水爆実験に至るまでにはあと数回の実験を経なければならないだろうと予想した。
立命館大学教授で、かつて韓国の統一研究院所長を務めていたChoi Jin-wook氏は、6回目の核実験は北朝鮮にとって必要不可欠なものになると指摘。「核兵器を実戦配備するために小型軽量化は必須だが、北朝鮮はこの技術を手にしていないように見える」と述べた。
タイミングを瀬踏み
金正恩氏は、新たな核実験に踏み切るとしてもそのタイミングは慎重に見極める公算が大きい。この実験は唯一の同盟国である中国を怒らせ、7月のICBM実験を受けて発動された国連の経済制裁が一層厳しくなるとみられるからだ。
ある米政府高官は、北朝鮮の豊渓里核実験場では1カ月余りにわたって活動が見られず、実験が差し迫っている兆しは見当たらないと話す。また別の米政府高官によると、北朝鮮は数カ月前から核実験に向けた態勢は整えてきたが、そこから新たな動きはないという。
複数の専門家の話では、北朝鮮の科学者らはICBMが宇宙空間を飛行した後で大気圏に再突入する際の高温や圧力から弾頭を保護する技術もまだ獲得していない。