来年、東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国がシンガポールに替わる。関係筋によると、中国は、南シナ海での自国の行動に対する批判の再燃を恐れ、それが現実とならないようシンガポールに圧力をかけているという。

この数ヶ月間、複数回にわたる非公式の会談で、中国側の代表者はシンガポール側に対し、1年交代のASEAN議長国にシンガポールが就任しても中国政府にとって困難が生じないよう申し入れたという。

外交関係者らは、中国がこれまでにも、アジアにおける最大の不安定要因の1つである南シナ海問題に対するASEANの姿勢軟化を狙って、ASEAN議長国に影響力を行使してきたとみている。

現在の議長国はフィリピンで、先週末にはマニラで外相会議が開催された。慣例となっている共同声明は土曜日(5日)には発表されず、最終的に日曜日までずれ込んだ。外交関係者らによれば、領有権が争われている海域に構築した人工島で中国が防衛力を急速に拡張していることについて、間接的な言及を盛り込むか否か、意見がまとまらなかったためだという。

事情に詳しい北京駐在のあるアジアの国の外交官は、シンガポールがASEAN議長国の立場を利用して南シナ海問題の「国際化」を狙うことについて懸念が出ているという。中国は、南シナ海問題を直接の当事国間の問題に限定したい考えだ。

「華人系住民の多いシンガポールはもっと中国政府の意向を尊重すべきだというのが中国の考えだ」と、この外交官は匿名を条件にロイターに語った。

南シナ海情勢に詳しい香港駐在のアジアの別の国の外交官は、「中国政府は、南シナ海問題に関して何を期待しているか、シンガポールに明示している」と言う。

本記事についてシンガポールの外務省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

中国外務省は、中国はシンガポールの取り組みを支持し、「シンガポールが、ASEANを主導して中国と協力することで、現実的な協力関係の強化と改善を推進し、運命共同体である中国・ASEANコミュニティの連携をいっそう確かなものにすると確信している」との回答をロイターに寄せた。

航行の自由を訴えるシンガポール