アメリカの太陽発電ブーム、「トランプ関税」で終焉迎える?
7月25日、米国の太陽光発電事業者は、トランプ政権が貿易救済措置を取ることを恐れて、低価格の輸入ソーラーパネルを買い漁っている。2007年、カリフォルニアで撮影(2017年 ロイター/Kimberly White)
米国の太陽光発電事業者は、トランプ政権が貿易救済措置を取ることを恐れて、低価格の輸入ソーラーパネルを買い漁っている。政策次第ではコストが跳ね上がり、米国経済で最も有望な分野の1つである太陽光発電部門の前途に暗雲が立ちこめることになりかねないからだ。
米国の消費者や企業のあいだでは、太陽光エネルギーに対する支持は急速に高まっている。中国を筆頭とするアジア諸国で製造されている安価な太陽電池や太陽光パネルの恩恵もあって、2010年以降、発電コストは7割前後も低下し、より多くの国民や企業が太陽光発電を導入できるようになったのだ。
昨年、米国での導入件数は過去最高を記録。関連雇用も急速に拡大している。非営利団体のソーラー財団によれば、太陽光発電産業による米国内の雇用は26万人以上に達している。その大半は、屋根へのパネル設置や、強烈な陽光にさらされる米砂漠地帯での電力事業者向け太陽光プラントの建設労働者だ。
だが、こうした状況に冷水を浴びせる兆候がすでに現れている。太陽光発電業界は、ジョージア州のサニバという太陽光発電パネルメーカーが最近行った提訴に対して、トランプ大統領がどう対応するかを注視している。
サニバは、米国メーカーの競争力回復に向け、輸入パネル価格を実質2倍に引き上げるよう政府に求めている。昨年米国で販売された太陽電池パネルの約95%は外国産であり、ほとんどは中国、マレーシア、フィリピン製だった、とSPVマーケットリサーチは分析する。
トランプ大統領は、国内企業を保護するための関税賦課について幅広い裁量権を持っている。米国の家庭や企業向け電力供給において、太陽光が化石燃料に対抗できるかどうかは、大統領の行動によって左右される可能性があると言えるだろう。
太陽電池パネルに関する貿易紛争について、ホワイトハウスはコメントを控えている。とはいえ、トランプ政権は「不公正な」輸入品を罰することで鉄鋼などの国内メーカーを保護すると公約で掲げている。