子どもの貧困と格差の連鎖を止めるには「教育以外の環境」へのアプローチも不可欠
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<子どもの7人に1人が貧困という現代社会の裏で進む格差の再生産――貧しさの連鎖を食い止めるカギはどこにあるのか。模索が続くなかで「21世紀型スキル」という能力観が注目を集めている>
2016年に厚生労働省が行った国民生活基準調査の結果が先日公表され、「こどもの貧困率」は12年ぶりにやや改善されるも、いまだ7人に1人が貧困の状態であることが明らかになった。
2013年6月に政府が「子どもの貧困対策法」を制定したことも手伝って、「子どもの貧困」という言葉が広がるとともに、日本国内の6人に1人の子どもが貧困状態という数字(当時)も世間に衝撃を与えた。あれから4年、状況は改善されたとは言い難い。特に、ひとり親世帯(貧困率50.8%)、母子家庭(同82%)は切実だ。
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貧しさは次の世代に受け継がれる
子どもの貧困という問題が抱える重大な問題の1つに、格差の再生産がある。親世代の経済状況が子世代の経済状況に大きな影響を与えているということだ。
経済協力開発機構(OECD)が2016年に公表した、2013年の加盟各国の国内総生産(GDP)に占める学校など教育機関への公的支出の割合は、日本は3.2%。比較可能な33カ国中、最下位のハンガリー(3.1%)に次いで32番目だった。これは教育に対する公的支出が乏しく、子どもの教育環境は家庭の経済状況に大きく左右されるということを示している。
日本では、大学(学部)進学率(過年度卒を含む)は51.5%で過去最高の割合(文部科学省「平成26年度学校基本調査」より)に達し、大卒であることがかつての高卒のように「標準」学歴となりつつある。