最新記事

アメリカ政治

クシュナー非公開で議会証言 ロシア政府との「共謀」を否定

2017年7月25日(火)08時20分

7月24日、トランプ米大統領の娘婿であるジャレッド・クシュナー大統領上級顧問は、ロシアとの共謀を否定、秘密の連絡ルートも要求していないと表明した。ホワイトハウスで先月30日撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

トランプ米大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上級顧問は24日、ロシア当局者と昨年4回にわたり接触したことを認めつつも、2016年の米大統領選中にロシア政府との「共謀はなかった」と強調した。

クシュナー氏はこの日、上院情報委員会で約2時間半にわたり非公開の証言を行った。同氏は証言前に公表した詳細で「私はいかなる外国政府とも共謀しなかった。また、選挙陣営内で共謀した人物も認識していない」と強調。さらに「不適切な接触はなかった。民間セクターにおける自分の事業ためにロシアの資金を融通したことはない」と語った。

証言の記者会見でも、自身のすべての行動は適切で、「極めてユニークな選挙キャンペーン」の枠内において行われたものと述べた。

クシュナー氏が公表した詳細によると、同氏は2016年4月、当時駐米ロシア大使を務めていたセルゲイ・キスリャク氏とワシントンで初会合し、握手を交わした。同年4、11月に行ったとされる電話でのやり取りについては覚えておらず、電話の会話記録も見つかっていないとした。

クシュナー氏はさらに大統領選後の12月13日、ロシア国営の 開発対外経済銀行(VEB)のトップで、プーチン大統領に近いとされるセルゲイ・ゴルゴフ氏と会合。会合はゴルゴフ氏からの強い要請を受けて行われ、「特定の政策問題」を巡る協議はなく、米国による対ロ経済制裁およびクシュナー氏の事業いずれも議題に上らなかったことを明らかにした。VEBは米政府の制裁下にある。

ゴルゴフ氏との会合では、クシュナー氏の祖父母の出身地であるベラルーシのノヴゴロドの芸術品と土をプレゼントとして受け取ったことを明らかにしつつも、同会合の前にも後にも、ゴルゴフ氏とはいかなる連絡も取っていないと強調した。

2016年6月に行われたトランプ大統領の長男、ドナルド・トランプ・ジュニア氏とロシアの弁護士ナタリア・ベセルニツカヤ氏による会合を巡っては、クシュナー氏は時間の無駄だったと説明。「同会合に10分ほど同席した後、アシスタントに電子メールを送り、携帯電話に電話するよう頼んだ。席を外す言い訳が必要だった」と語った。自身が居合わせた間に行われた会合では、選挙に関する内容はなく、何らかの文書が交換されたことは認識していないと語った。

クシュナー氏は25日、下院情報委員会でも証言を行う。

[ワシントン 24日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 7
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 8
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中