北朝鮮ICBM出現で問われる米ミサイル防衛 絶対の保証はあるか?
THAADとイージスシステムの主な契約相手はロッキード・マーティン、GMDはボーイングが中心となって請け負っている。
1980年代のレーガン政権以降で米政府がミサイル防衛開発に拠出してきた総額は2000億ドル余り。オバマ前政権期間のミサイル防衛関連の平均予算額は81億2000万ドルで、トランプ政権は2018年度に78億ドルを要求した。
絶対はあり得ず
MDA局長だったジェームズ・シリング海軍中将は議会で先月、北朝鮮が過去半年で成し遂げた技術的進歩には大きな懸念を抱いていると語った。
一方、米国の北朝鮮分析サイト「38ノース」に寄稿しているミサイル専門家のジョン・シリング氏は、北朝鮮のミサイル開発速度は想定よりも速いと指摘しつつも「ただし、特に戦時下において米本土の価値の高い目標に正確にミサイルが到達するまでにはあと1年か2年は必要だろう」と述べた。
それでも国際戦略研究所(IISS)でミサイル防衛を研究するマイケル・エルマン氏は、北朝鮮が信頼できるICBMを完成させるまでにはなお数段階あるとはいえ、米国が自らを守れるという「絶対の保証など存在しない」と主張。ミサイル防衛では実験の成功率が100%でも、それで大丈夫ということにはならないと釘を刺した。
(Mike Stone記者)