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アメリカ社会アメリカで「最も憎まれる男」の所業とは?
嫌われ者シュクレリは何をしたのか Lucas Jackson-REUTERS
<この男だけはどうしても公正に裁けないと言って、陪審員選びから落ちる候補が続出。その理由は>
アメリカで「最も憎まれる男」マーチン・シュクレリの裁判の陪審員選びが、難航している。
今週月曜、連邦犯罪の証券詐欺罪で2015年に逮捕されたシュクレリの裁判の陪審員選びで、多くの候補者が、シュクレリが有罪か無罪かとても公正な判断はできないと言い、悪態をつく。
シュクレリはチューリング製薬のCEOだった2015年に、HIV(エイズウィルス)患者にとって生死を分ける治療薬「Daraprim(ダラプリム)」の価格を55倍に引き上げて大儲け。患者の負担が大幅に増すことから、世論に激しく非難された男だ。
ニューヨーク・ブルックリンの裁判所で行われた陪審員選定では、選考初日にして100人以上の候補者が落とされた。
選考のなかで、候補者の1人はシュクレリを「強欲そのもの」と呼んだ。「アメリカで最も憎まれる男」というあだ名もある。シュクレリの首を締めるジェスチャーをする男性もいたと、AP通信が報じている。
米ニュースサイト、バズフィードによれば、裁判官から公正な判断ができるか尋ねられたある候補者は「悪いが、シュクレリは最低だ」と言ったという。
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ここまで言われるワケ
裁判はダラプリムの問題とは直接関係はなく、シュクレリが以前幹部を務めたヘッジファンドでの証券詐欺容疑の公判だ。シュクレリに騙された投資家の被害総額は1100万ドルに達するとされており、有罪判決を受けた場合、最長で20年の懲役に科せられる。
しかし、ここまで社会に嫌われるのはダラプリムの薬価吊り上げのせい。感染症治療薬としてとうに特許が切れていたダラプリムのライセンスを買い取るや、その価格を1錠あたり13.5ドルからいきなり750ドルに値上げした。薬代の値上がりで治療が続けられない患者が出るなど、猛烈な批判を集めた。
私生活でも何かと問題が多い。アメリカのヒップホップ歌手ウータン・クランの世界に1つしかないアルバム『Once Upon a Time in Shaolin 』を200万ドルで購入したかと思えば今年1月には、女性ジャーナリストのローレン・デュカへの嫌がらせを理由にツイッタ―のアカウントを削除された。
陪審員の選考は火曜から2日目に突入する。「最も憎まれた男」を公正に裁くことができる陪審員は果たして現れるのだろうか。
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