バドミントン王国インドネシアの憂鬱 国際大会で決勝トーナメント進めず
インドネシアの応援団。昨年のリオ五輪、バドミントンの試合会場で Mike Blake‐REUTERS
<「バドミントンの女王」と呼ばれるスシ・スサンティを生んだインドネシアが国別対抗戦で惨敗。スサンティの頃より恵まれ過ぎか、競り負けるのは女子より男子、等々、国を挙げての敗因分析が始まった>
バドミントン大国、国技バドミントン、バドミントン界の女王、初の五輪金メダルはバドミントン。これは全てインドネシアのバドミントンにまつわることがらである。東南アジアの大国、世界第4位の人口を擁し、世界最大のイスラム人口を抱えるインドネシアでは国民に最も人気のあるスポーツがサッカーとバドミントン。空き地があれば男の子たちは裸足でボールを蹴り、女子や家族でシャトルを打ち合う姿は、インドネシアのどこにいってもみられる日常の光景である。
インドネシアが予選リーグ敗退
そのインドネシアのバドミントン界が大きく揺れる"事件"が起きた。5月21日から28日までオーストラリアのゴールドコーストで行われた世界国別対抗バドミントン選手権(スディルマンカップ2017)でインドネシアがグループ最下位となり予選リーグで敗退、決勝リーグに進むことができなかったのだ。これは1989年の第1回大会以降初めての出来事でインドネシア国民は大きな衝撃を受けた。
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インドネシアでも国技のバドミントンの国際試合であり、そもそも「スディルマンカップ」のスディルマンはインドネシアの代表的バドミントン選手、ディック・スディルマンの功績にちなむもので、インドネシアにとっては負けるに負けられない大会の一つで、試合は民放テレビ局が生中継して全国で国民が固唾を飲んで観戦していた。
バドミントン界の女王が謝罪
こうした中での予想外の事態に地元紙は「バドミントン史上最悪の結果」「青年スポーツ省がバドミントン協会(PBSI)関係者を査問」などと厳しいトーンで伝えた。
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インドネシア選手団のアハマド・ブディハルト代表はPBSIのホームページに「全てのインドネシアの人々に謝ります。全く経験したことのないショッキングな結果となってしまいました。協会関係者と今回の結果をよく分析します」とのコメントを掲載した。
さらにPBSIのテクニカルチーフであるスシ・スサンティさんも「選手一人一人は最大限の努力をした。その結果はきちんと受け入れなければならない。私個人としてはこの結果について謝罪します」とコメントした。
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スシ・スサンティさんは、1971年に生まれ15歳でインドネシアのナショナルチームに抜擢され、1992年のバルセロナ・オリンピックで優勝、インドネシアに初の金メダルをもたらした国家的英雄だ。ワールドカップ、ワールドグランプリでそれぞれ6回優勝し、全英オープンも4度制覇、「バドミントン界の女王」と称えられる。その女王が国民に謝るとは、インドネシアにとっていかにこの敗北が深刻なものであるかを裏付けている。