米国のパリ協定離脱、フェイスブックやアップルCEOが批判
6月1日、トランプ米大統領は、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると表明。これに対して多くの米国企業が賛同しない姿勢を見せる一方、化石燃料業界の反応は控え目なようだ。写真はアップルのクックCEO、北京で3月撮影(2017年 ロイター/Thomas Peter)
トランプ米大統領は1日、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」から米国が離脱すると表明し、離脱は経済危機を回避して米国の雇用を守ることにつながると主張した。これに対して多くの米国企業が賛同しない姿勢を見せる一方、化石燃料業界の反応は控え目なようだ。
フェイスブック、アップル、フォード・モーター、マイクロソフトといった優良企業からはこの決定を批判する声が上がった。
アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)はツイッターへの投稿で「パリ協定離脱はわれわれの地球にとって間違った決定だ」と指摘。「アップルは気候変動との闘いにコミットしており、決して揺らぐことはない」と強調した。
フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは、フェイスブックで「パリ協定からの離脱は環境や経済にとって良くない。われわれの子どもたちの将来を危険にさらす」と批判した。
また、電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスクCEOと娯楽大手ウォルト・ディズニーのロバート・アイガーCEOはトランプ氏の決定を受け、ホワイトハウスの大統領助言委員会の委員を辞任すると発表した。
一方、米国の炭素排出基準の緩和によって恩恵を受ける石炭や石油など化石燃料業界からの反応は控え目だった。
世界石炭協会(WCA)のベンジャミン・スポートン代表は1日、ロイターのインタビューで、トランプ氏の発表について複雑な心境を明かし、米国の政策が世界のエネルギーミックスにおいて石炭を積極的に推進することに期待すると述べた。
同代表は「大統領が協定への再参加を望むなら、石炭を含むすべてのエネルギー源の役割を認める方向に合意内容を変更できることが必要だ」と指摘。WCAは政権の当局者らに協定にとどまる利点について説明していたと付け加えた。
米石油協会(API)はパリ協定について公式な立場を示したことはないとするコメントを発表した。